愛知県瀬戸市には都心部から移り住む若者が増えており、これまで受け継がれてきた伝統に新たな文化が参入してきています。なぜ今若者の注目を集めているのか、瀬戸はどんな街なのか、ツーリングで一周しつつその魅力を感じてきました。
瀬戸を楽しむための場所「ますきち」
愛知県瀬戸市仲切町22
TEL:080-4614-5325(16時〜22時)
瀬戸ツーリングの出発地は、前日から宿泊していた「ますきち|宿泊・喫茶・土産・案内」。以前ライドハックでご紹介した注目のゲストハウスです。瀬戸の街を周回する起点としての宿、瀬戸ものを使用した喫茶、瀬戸の職人が手がけた土産品販売、本の出版やWEBメディアで瀬戸の魅力を発信する案内と、4つの要素を軸に瀬戸の魅力を発信するますきちさんは、瀬戸ツーリングの出発地としてぴったりです。また、オーナーの南さんは瀬戸出身。北海道の大学を卒業後、瀬戸に戻ってますきちをオープンした若手創業者です。宿泊や喫茶で立ち寄った際に瀬戸の魅力やおすすめスポットを聞くと、さらに瀬戸を楽しむことができます。
バイクで出発する前に、ますきちの周りを散歩してみます。ますきちを出てすぐのところに見えた建物。歴史を感じるその風情に引き寄せられ覗いてみると、国登録有形文化財「旧山繁商店」でした。「旧山繁商店」は明治から昭和時代の瀬戸を代表する陶磁器卸問屋で、平成27年度に国登録有形文化財に認定された歴史ある建物。陶磁器産業の伝統と発展を感じる建物が街に馴染んでいることが印象的で、伝統を受け継ぎ発展してきた瀬戸の歴史を感じました。
さて、ツーリングを始める前にパッキング。マップを使用するためのスマートフォンホルダーはZETAから新登場した「タフロック スマートフォンマウント」を使います。ラバーマウントが回転することで携帯に伝わる衝撃を軽減。さらにボールマウントによって角度を自由に変更できるのも嬉しいポイントです。乗車時の振動によってが落ちることも傾くこともなく、安定感も抜群でした!
ZETA
¥15,950(税込)
貴重品や飲み物、着替えなどは「DFG モジュールモトパック」にパッキング。30L/15L/7.5Lと収納量別に3タイプ展開されているため、荷物の量に合わせて使い分けられるのはとてもありがたいです。今回はますきちさんに1泊してからのツーリングということで、着替えを持ち運ぶためにも30Lと7.5Lの2つを使用。着替えなどを入れた30Lをリアフェンダー部分にくくりつけ、手が届きやすいガソリンタンク上には7.5Lを装備し、財布や飲み物など、取り出す頻度の多いアイテムを入れておきました。
DFG モジュールモトパック 各種サイズ
30L ¥15,400(税込み)
15L ¥13,200(税込み)
7.5L ¥10,450(税込み)
伝統と現代文化が共存する商店街を巡る
いざ、瀬戸ツーリングへ! まずは、ますきちさんからバイクで1分ほどの場所にある商店街に向かいました。
瀬戸にはいくつか商店街があります。最初に訪れたのは「宮前地下街」。入り口には深川神社の大きな鳥居がそびえ立っていて、その参道に並ぶお店が「宮前地下街」です。”地下街”という名前から地下にあると想像しますが、お店は全て地上に並んでいます。調べてみると、”地下”というのは神社から見て低い位置にあるから地下という名前がついているのだとか。
前日に開催されたせともの祭に出店していたからか、ずらりと並んだお店はほとんどお休み。うなぎが有名な「田代」で絶品のうなぎを食べようと計画していましたが...... 残念ながら休業中。今回は断念しました。
宮前地下街に隣接するのは「せと銀座通り商店街」です。こちらには古くから営むお店から若手の方々が立ち上げたお店、さらにはギャラリーなど、伝統文化と現代文化が共存している街並みは、新たな文化の参入を受け入れる、瀬戸の文化を象徴しているように感じます。
将棋の世界で活躍を続ける藤井聡太竜王は瀬戸市出身。商店街には垂れ幕が飾られていました。
ツーリング用品を揃えるならダートバイクプラスへ!
商店街を後にしようとバイクに跨ってグローブを手にはめたところ、使っていたグローブに穴が空いていることに気がつきました。せっかくなので、新しいグローブを求めてダートバイクプラスへ。商店街から10分ほどバイクで走ると到着です。
愛知県瀬戸市中水野町2-30
TEL : 0561-86-8295
毎日営業(年末年始除く)
営業時間 : 10:00~19:00
ダートバイクプラスは、ダートフリークの本社に併設されています。モトクロスやエンデューロなどオフロード用品はもちろん、ツーリング用品やキャンプ用品まで品揃えが豊富。組み立て式のテーブルやチェア、ミニ焚火台など、ツーリング先でキャンプを楽しむためのアイテムをほぼ揃えることができちゃいます。
フィッシングロッドホルダーもツーリングを楽しむアイテムの一つ。取り付けることでバイクに釣竿を積むことができるため、釣りを目的としたツーリングができたりと、ツーリングの可能性がどんどん広がります。
色々目移りしながらも、目当てのグローブを購入。私は手が小さいためキッズサイズのグローブがちょうど良いのですが、店舗で売られているキッズサイズには限りがあり、品揃えが多い場所に巡り会えなかったことが悩みでした。しかし、ダートバイクプラスではFOXやFASTHOUSEなど多くのブランドが揃っているほか、サイズや色の展開も多くてびっくり。色々試着しながらお気に入りのグローブを選ぶことができました。
せともの文化を体験できる「品野陶磁器センター」
ダートバイクプラスを出発し、210号線を進んでいくと陶磁器センターの看板を発見。入ってみると、レストランやコンビニ、直売所、道の駅が隣接していて、ご飯を食べたりお土産を買うことができます。「品野陶磁器センター」では瀬戸・品野地区にある窯元の商品の展示・販売が行われています。さらに、陶芸教室も開催されるなど、せとものを体験することができます。
〒480-1207 愛知県瀬戸市品野町1-126-2
TEL:0561-41-1141
営業時間:9:00〜18:00(12月〜2月は17:00まで)
品野陶磁器センターに隣接するレストラン「敷島」で昼食をいただきます。カレーや味噌カツ、お寿司やケーキなど、メニューの多さに驚きました。お腹が空いていたので、ガッツリ揚げ物のアジフライを注文。ちなみに、愛知県といえばモーニングサービスが有名ですよね。喫茶店でドリンクを頼むとパンと茹で卵がついてきたりと、そのボリュームの多さやお得さは衝撃を受けるほど。「敷島」では、パンとゆで卵とお寿司2巻というボリューミーなモーニングセットも用意されていました。次はモーニングを目的に来てみたいです。
瀬戸の街を一望できる、「三国山山頂展望台」
お腹いっぱいになったところで、次に目指すのは「三国山山頂展望台」。品野陶磁器センターからは約25分ほどの位置にあります。住宅街を抜け、山道に入っていきます。道が狭くなり、木々に覆われた自然あふれる空間。標高が高くなるにつれて気温は下がり、木漏れ日を見ながらの走行がとても気持ちよかったです。
山を登りきったところで駐車場に到着。見えた景色から標高の高さを感じ、山頂まで登ってきたことを実感しました。ここから展望台までは徒歩で向かいます。
展望台までの道には弘法大師の石像がずらりと置かれていました。ここは「三国山新四国八十八か所」と称され、弘法大師の修行の跡志を巡礼する四国八十八か所霊場巡拝を模して作られた場所だそう。
三国山展望台に到着! 階段で上まで登ると、瀬戸市や名古屋市、御岳や白岳を一望することができます。
また、展望台近くには三国山キャンプ場があります。今年(2022年)は7月15日(金)〜8月31日(水)まで開場しており、私が訪れた時はすでに閉場期間でした。開場した際には、キャンプを兼ねたツーリングをするというのも楽しそうですね。
短い距離ではありますが、砂利が敷かれた道を発見。ここから山を下って瀬戸への帰路につきます。
古くから受け継がれる暮らしが見える、「窯垣の小径」
三国山山頂展望台から30分ほどで瀬戸に到着。瀬戸では、受け継いできた伝統や歴史が街並みに深く刻まれています。「窯垣の小径」もその一つ。ここは観光地としても有名で、窯で使用する窯道具を廃棄する代わりに積み上げて作った石垣「窯垣」が約400mに渡って続いています。駐車場にバイクを置き、実際に歩いてみます。
〒489-0833 愛知県瀬戸市仲洞町39
TEL:0561-85-2730
営業時間:11:00~15:00(資料館)、10:00~16:00(ギャラリー)、窯垣の小径は自由に散策可能
近くで見ると崩れないようにびっしりと積み重ねられていました。丸形は窯を支える柱、長方形はやきものを置く板だそう。これらがランダムに並べられている模様はなんとも不思議。窯業が盛んな瀬戸でしか見られない景観です。
窯垣の小径に行く途中には、窯屋さんの邸宅も多く見られます。ここでは無人販売が行われており、お茶碗や急須、コップなど様々な陶器がお手頃な価格で販売されていました。
瀬戸に来たら外せない、焼きそば一笑 尾張瀬戸店
焼きそば一笑 尾張瀬戸店
愛知県瀬戸市幸町53-1
TEL:080-6908-1400
営業時間:11:00-19:00(売り切れ次第終了)
定休日:木曜日・第4水曜日
瀬戸のソウルフードとして有名な「瀬戸焼きそば」は瀬戸に来たら外せません。「焼きそば 一笑」は、地元の方からも愛される人気店で、混雑時には3時間以上待つこともしばしば。瀬戸焼きそばの最大の特徴は20分という炒め時間の長さとタレにあります。瀬戸焼きそばのタレは一般的なソースではなく、豚肉を醤油ダレで煮込み、その旨味を抽出した特製のタレを使用。20分以上という炒め時間の長さは、タレの旨味を麺にしみこませるための時間なのです。また、麺も瀬戸焼きそば専用のものを使っているため、長時間炒めてもコシのある食感で、一度食べるとやみつきになります。
基本はテイクアウトでの提供のため、近くの公園に移動していただきました。瀬戸に来たらぜひ食べていただきたいです。
今回のツーリングはここで終わり。一周の移動時間をみると合計2時間ほど。各目的地まで約10〜30分という距離感のため、フラっと瀬戸一周を楽しむことができました。瀬戸を巡る中で印象的だったのは、新しい家屋と古くからの家屋、窯業を営む工房が混在していること。伝統文化と現代文化が、なんの違和感もなく共存しているその街並みが瀬戸の魅力を物語っていました。
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