2022年9月10日(土)〜11日(日)、愛知県瀬戸市の一大イベント「せともの祭」が3年ぶりに開催! 日本最大級となる陶磁器のお祭りに行ってきました
せともの祭とは、瀬戸に磁器の技術を伝え、陶磁器産業を発展させた加藤民吉の遺徳をたたえるために始まった産業祭。昭和7年に開催されてから今回で91回目を迎えました。2日間にかけて行われるお祭りでは、瀬戸で陶磁器産業を営む職人や窯元、飲食店などが瀬戸川沿いに屋台を出店。なかでも、各店が陶器や食器、インテリアを販売する「せともの大廉売市」はこのお祭りの目玉であり、せとものを目当てに多くの人が集まっていました。
せともの大集合! 「大廉売市」
「せともの大廉売市」は、食器/伝統工芸品/手作り品/瀬戸焼き/インテリアを販売するお店が一堂に集まって各商品を販売する市場。せともの祭の開催に合わせて陶磁器の廉売市が行われたことがきっかけとなり、せともの祭の一環として今も開催されています。開催を始めた1932年当時は世界恐慌の最中ということで、在庫の山を整理することが目的だったとか。今回出店した出店の数は100店以上と、その多さは圧巻です。
株式会社愛窯工芸社の出店では、伝統工芸品「練り込み」を販売していました。練り込みは陶芸技術の一つで、ベースとなる粘土と着色した粘土を重ね合わせて模様を作る技法。陶器に模様を描く絵付けとは異なり、模様自体が陶器に練り込まれています。練り込みの工房は瀬戸に2つしかなく大変貴重なこともあって、多くの人がその模様に惹かれていました。店員の方にお話を伺うと、京都で有名な「練り上げ」という技法が「練り込み」と間違われやすいんだよと教えてくれました。それらの違いは割った断面をみるとわかるそうで、練り上げは色がついた粘土を組み合わせていく技法のため、割れた断面が白いそうです。一方、練り込みは粘土を重ね合わせて作っているため、割った断面にも模様が見られます。
こちらはライドハックで一度取材をさせていただいた「Trace Face」。瀬戸の型業エムエムヨシハシの吉橋さんが製作した一品です。ニットを巻いているように見えますが、全て手作業で型取られた陶器。温もりを感じるニット模様は思わず手に取りたくなります。
「瀬戸染付焼」を見て、買って、体験する
「青の広場」では、瀬戸の伝統工芸品である「瀬戸染付焼」の展示・販売、体験を行っていました。「瀬戸染付焼」とは、19世紀初めに加藤民吉らが瀬戸で広めた磁器の焼成技術で、白い素地に呉須という青い顔料で絵付けした焼きものです。
瀬戸染付焼は青と白のコントラストが美しく、展示されているひとつひとつに目を奪われます。
今年は加藤民吉の生誕250周年ということで、彫刻家の亀谷政代司さんによる磁祖加藤民吉像の公開製作が行われていました。間近で製作過程が見られるなんとも貴重な瞬間。多くの方が足を止め、亀谷さんの技術に見入っていました。
「染付ワークショップ」も開催され、賑わいを見せていました。こちらでは五寸皿に自分の好きな模様を描き、オリジナルの染付焼を作ることができます。
各々が好きな模様やキャラクター、メッセージなどを描いて楽しんでいる様子。作品は後日焼成された後に瀬戸蔵で受け取るということですが、これは蔵という存在が地域に馴染んでいる瀬戸ならではの体験ではないでしょうか。
商店街も大盛り上がり、「招き猫マルシェ」
末広町商店街では、「招き猫マルシェ」が開催されていました。商店街の各店舗が店先にテーブルを広げて商品やサービスを提供。多くの人が行き交い、活気が溢れています。
なかでも、瀬戸の名産品であるノベルティが揃った「瀬戸ノベルティー倶楽部」は一際目を引きました。ここでいうノベルティとは陶磁器製の人形たちのこと。明治時代にノベルティの人形を作り始めるとその繊細かつ精巧な造形と絵付けの技術が海外で高い評価を受けました。「セトノベルティ」として海外100カ国以上へ輸出され、瀬戸の焼きもの文化において中心的な役割を担ってきました。海外への輸出が多かったことから、日本国内での知名度は低いのですが、ユニークな作品の数々は印象が強く、技術の繊細さに驚かされます。
こちらの人形も陶器でできています。ノベルティは一つの粘土の塊から形を作っていくのではなく、初めに腕や頭、手のひらなど各パーツを石膏型で作り、プラモデルのようにパーツを組み立てて作っていきます。実際に焼く前の状態を見てみると、腕がまだくっついていなかったり、レースの接着部分が見えるなど、その工程が感じられます。また、店員の方にお話を伺ったところ、ドレスのレースも全て陶器でできているそう。レースの布に泥を染み込ませ、焼成することでレースは焼けてなくなり、粘土だけが残るという仕組み。説明を聞くまで本物のレースを使用していると思っていた方も多いのではないでしょうか。
食も充実!
陶器の展示や販売のみならず、食べ物の屋台も多く出店。特に瀬戸市のソウルフードである瀬戸焼きそばは「瀬戸焼きそば広場」が展開されるほどの人気で常に行列ができていました。
せともの祭は、瀬戸が受け継いできたせとものへの情熱を肌で感じるイベントでした。会場に並ぶ陶器の多さに加え、伝統的な模様や伝統技法を使った陶器から今までには無いようなデザインや色を取り入れたものなど、せとものの柔軟さと奥深さにすっかり魅了され、帰るときには来年は何を買おうかな、なんて考えていました。
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