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開幕直前! ダートフリークライダーズ。JMX IAクラスで戦うBells Racing

全日本モトクロス選手権2024シーズンの開幕に向けて、今季のダートフリークサポートライダーにインタビュー。今回はIA1クラスで戦うモトクロスチーム「Bells Racing(ベルズレーシング)」を率いる小島庸平氏に、チームとチーム員について聞きました

2024年3月30日〜31日、全日本モトクロス選手権2024シーズンが開幕します。新シーズンは、ライダーの引退や移籍、ステップアップなど変化が多く見られるタイミングですが、実際のところどのライダーがどんなチームに所属しているのか、わからないという方も多いでしょう。そこで、ライドハック編集部が今季注目のダートフリークサポートライダーにインタビュー。ライダーを知ることで、レース観戦がさらに楽しくなるはずです。

今回お話を伺ったのは、全日本モトクロス選手権IAクラスに参戦しているモトクロスチーム「Bells Racing(ベルズレーシング)」です。チーム監督はIA1チャンピオン経験もあり、今もなお現役で活躍を続ける小島庸平。ライダーは2023年IA1クラスランキング2位の大倉由揮と、地方選手権のNAクラスからIA2クラスに飛び級昇格した注目のルーキーライダー吉田琉雲です。今季の目標やチーム員2人について、監督の目線からお話を伺いました。

鈴鹿のモトクロスチーム「ベルズレーシング」

ライドハック編集部伊澤(以下:編):小島さん、よろしくお願いします!

小島庸平(以下:小島):よろしくお願いします!

編:まずは「ベルズレーシング」というチームについて聞いていきますね。そもそもチームを発足したきっかけは何ですか?

小島:僕の地元・鈴鹿にモトクロスチームを作りたいという思いで始めました。サッカーや野球など、メジャーなスポーツって地元に根付いたチームがあって、そこから成長していくじゃないですか。鈴鹿はモータースポーツの町なので、鈴鹿からモトクロスを発信したいと思い、始めました。

編:鈴鹿のホームチーム結成が目的だったんですね。

小島:そうですね。なので、鈴鹿の「鈴」をとって「ベルズ(Bells)」と名付けました。

編:なるほど!

小島:コンセプトとしては、鈴鹿から世界へ羽ばたくライダーを育てていきたいという思いがあります。今は複数人体制ですが、最初は僕1人で走っていました。チームの基盤を作っていって、その後にチーム員を増やしていきましたね。

編:2024年の体制はどうなりますか?

小島:ベルズレーシングからはIA1クラスに大倉由揮が、IA2クラスに吉田琉雲がフル参戦します。チームは同じですが、大倉はホンダのサポートを受ける「Honda Dream Racing Bells」、琉雲は「Bells Racing」というかたちですね。

小島庸平

また、私は去年までフル参戦していましたが、今年からスポット参戦に切り替え、モトクロスを盛り上げるために、チームオーナーとしての活動の幅を広げていこうと考えています。スポット参戦については、まず開幕戦でIA2クラスにゼッケン44番で参戦する予定です!

高い壁を乗り越えるために努力を続ける、IA1#2 大倉由揮

大倉由揮

編:ライダーについてもお聞きしていきたいです。まず、大倉選手はどんなライダーなのでしょうか?

小島:彼は努力家で真面目なライダーですね。今年でベルズレーシングに入って3年目になります。

編:監督とライダーという関係であり、同じIA1クラスを戦うライバルでもありましたよね。

小島:そうですね。ただそこはあまり関係なく、この3年間はまずチームに慣れてもらったり、彼との関係性を深めていくところを優先してきました。

編:なるほど。走りについてはいかがですか?

小島:監督として見てきて、大倉は良いところもあれば悪いところもあって、直さなきゃいけないところももちろんたくさんあります。特に走り方のクセなどは言ってすぐ直るものじゃないので、指導しつつ、彼はそれを吸収している最中だと思います。

編:2023年はIA1クラスでジェイ・ウィルソンが圧倒的な強さを見せていましたが、彼の存在は大倉選手にとってもやはり大きいでしょうか。

小島:そうですね。ジェイさんを倒すには、大倉はもう一回り、二回りは大きく成長しなければならないと思います。とはいえ、ジェイさんとはこれまで練習してきた環境も骨格も違うし、彼のように走れと言っても難しいと思います。大倉の強みを生かしつつ、テクニックとスピードでジェイを上回れるように指導していますね。

ジェイさんは100%の力で走っていないんですよね。だから勝てるんです。つまり、ジェイさんを100%の力で走らせた時に、大倉は彼を上回る実力がないとダメなんですよね。なので、目指すところはそこです。今大倉が吸収していることが本番で上手く噛み合えば、勝てるとは思います。

編:やはり壁は高いんですね……。

小島:その壁を乗り越えるために、大倉はこのオフシーズンでイタリアへ行ってレースに参戦しました。日本にはない難しいコースだったり、海外選手の速さを体感したり、経験値を上げています。僕も海外トレーニングに行っていましたが、海外での経験はかなり生かされると思います。

注目のIA2ルーキー吉田琉雲

吉田琉雲

編:IA1クラスに大倉選手が参戦する一方、今年は吉田選手がIAデビューを果たしますね。どんな選手なのでしょうか?

小島:吉田は今(開幕戦前)15歳で、今年から高校生になります。ジュニア時代から突出した速さがあって、2022年近畿モトクロス選手権のジュニアクラスで全戦優勝し、チャンピオンを獲得しました。2023年には同選手権のナショナルクラスへ飛び級昇格をして、全11ヒート中10勝でチャンピオンを獲得しています。

編:圧倒的ですね……。私は2022年に全日本モトクロス選手権のジュニアクロスで初めて吉田選手の走りを見たのですが、その速さに衝撃を受けたのを覚えています。

2023全日本モトクロス選手権参戦時の吉田の走り。他を寄せ付けない走りで優勝を果たしました

小島:目を引く速さがありますよね。アグレッシブというよりはスマートな走りをするので、ぱっと見はあまり速そうに見えない走りをするんですけど、速いです。レースで見ると驚くかもしれません。

編:走りを見るのが楽しみです! 今年はIAクラスに参戦するんですよね。しかもフルサイズマシンで全日本モトクロス選手権にフル参戦するのは初めて。地方選手権よりもさらにレベルが高くなると思いますが、小島さんから見て吉田選手の調子はいかがですか?

小島:予想以上に実力が伸びていて、期待できると思います。元々センスが良くて、そのセンスが磨かれてきていますね。特にコーナーのテクニックがピカイチです。

編:IAクラス参戦にあたり、トレーニングも一緒におこなっているのをSNSで見ました。

小島:そうですね。僕らベルズレーシングは整形外科兼メディカルフィットネスジムを運営する「みどりクリニック」さんでチームみんなでトレーニングを重ねています。彼はまだ中学生ですが、レースでは中学生かどうかなんて関係ないので、トレーニングでも中学生だから甘やかすということはしていません。常にトップを目指して取り組んでいます。

今シーズンの意気込み

編:チームとしての今シーズンの目標をお願いします!

小島:吉田がIA2にルーキーで参戦するというのはチームにとって大きな変化ですし、大倉が戦うIA1クラスには、2023年IA1チャンピオンのジェイ・ウィルソンに加えて、オーストラリアで経験を積んできた横山遥希と2023年IA2チャンピオンのビクトル・アロンソが参戦してくるので、トップ争いがさらに混戦になると思います。その中でしっかりトップ争いで勝てるようにライダーたちは頑張るし、僕も監督として2人を育てていきたいと思います。大倉と吉田、どちらも目指すは年間チャンピオンです。ベルズレーシングは勝つためのチームなので、勝つために妥協はしないです。

編:開幕戦楽しみにしています! ありがとうございました!

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アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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