ツーリング バイク

どんなに過酷な旅であっても、家に帰ってこれる最強のクラッチシステム

オフロードバイクの弱点と言えば、まず思いつくのはレバー類でしょう。転倒時に曲がったり折れたり、そんなトラブルが頻発。しかし、レバーシステムそのものをごっそり変更することでウィークポイントをカバーすることができます! しかも引きが軽くなるっ!

 

サバイバルに必要なのは優れたツール

90年代のオフロードバイク雑誌には、とにかくツーリング先でのサバイバル術が掲載されていたものでした。林道にまだ行ったことがなくても、なんとなく雑誌で「パンクしてもタイヤに草や服を詰めれば、そのまま走ることができる」という技や、「折れたレバーに短いコンビネーションレンチを組み合わせて」みたいな応急処置方法を多くのライダーが知っていたのではないでしょうか。どこか体育会系の雰囲気もあった当時のオフロードバイク界では、オフロードバイク乗りなら林道の途中でバイクの修理くらいやれないとサバイバルできない、と思われていましたよね?(あれ? 筆者の勘違いでしょうか💦)

ところが2023年の今、そういったサバイバル術はなかなか語られなくなってしまいました。一つにはオートバイ本体を含めた各パーツが高性能化したこともあるでしょう。90年代のバイクは外装がすぐに割れてしまい、プラスチックをタイラップで縫い合わせているような光景も良く見られましたが、プラスチックだけを見ても粘りのある割れにくい素材で作られるようになっているのです。

 

もちろん、林道を走りに行くようなセロー250、CRF250Lといったトレールバイク自体もめったなことではトラブルをおこさないマシンに仕上がっているように思います。配線類がショートするなんてことも少ないし、灯火類も非常に頑丈にできています。

 

 

ところが、そんな現代のオフロードバイクでも唯一弱点として残っているのがレバー類です。CRF250Lには純正でハンドガードが付いているのでだいぶ安心感がありますが、やはりレバー類は運が悪いと折れてしまうのです。特に、初心者の場合は立ちごけに近い極低速での転倒が多くなるため、レバーが地面に直角に衝突し、あっさり折れてしまうケースが頻発します。前述した90年代のオフロードバイク雑誌には、①替えレバーを持ち歩く、②クイックスチールを持ち歩いて補修する、③プライヤーをバラして針金などでレバーの代わりに延長する、などのサバイバル術が書いてありましたが……、今はそんな必要はありません。折れないレバーに替えてしまえばいいのです。サバイバルに必要だったのは、そもそも折れないレバーだったのです!

 

レース由来の最強クラッチシステム『ピボットパーチ』

では、その折れないレバーシステムの決定版、ピボットパーチを見てみましょう!!

 

 

ZETA
ピボットパーチ CP
カラー : チタンカラー/ブルー(3フィンガー) ・ チタンカラー/レッド(3フィンガー)
品番 : ZE43-1311 ・ ZE43-1310
価格 : ¥20,350(¥18,500)
※4フィンガーも同色でラインナップ
※鍛造レバーのピボットパーチFPもラインナップ。ただし、こちらはレーサー専用です

ピボットパーチは、同じくZETAから発売されているピボットレバーと独自のクラッチホルダーをセットにしたもので、ピボットを軸にしてレバー部分が折れるようになっているクラッチシステムです。クラッチホルダーから替えてしまうため、ワイヤー式のクラッチを搭載した車種であれば、ほぼどんな車輌にも対応するところがメリットです。トレール用に対応するピボットパーチCPは、総削り出しアルミ製でその手触りが優れていることも特徴です。レバーに触れた時の感触にこだわるレーシングライダーは数多く、メーカーのファクトリーレーシングチームではプロライダー個人の好みにあわせたレバーを別々に用意していることもあるほど。レバーを自分の好みにあわせて削り込んで使うライダーもいます。それほどクラッチレバーは、大事なものなのです。

 

 

まず大事なのはレバー自体が根元から曲がってくれて破損の確率をほぼゼロにしてくれるところです。山奥からサバイブするにはこの機能が必要なのです!

 

 

ピボットパーチが優れているのは、ピボットレバーにとどまらずホルダーにも破損を防ぐ機構が備わっているところ。ピボットレバーはほとんどの破損を防いでくれるものですが、レバーに対して斜めに力がかかってしまった時に、ホルダーごと割れたりすることもあります。しかしこのパーチにはナイロン製のスレーブが付属しており、斜めの力がかかった場合でもホルダー自体が動くことで破損を防いでくれます。ピボットレバーで「ほぼほぼゼロ」になった破損確率が、このナイロンスレーブで「ほぼゼロ」になるのです。

 

 

それでも何が起こるかわからないのがオフロードツーリング。ピボットパーチは、万が一壊れてしまったとしても各部スペアパーツが入手可能です!

クラッチの重さを軽く出来る、画期的な機構

特にトレールユーザーに嬉しいのが、新開発された「レシオデバイス」です。クラッチレバーはてこの原理を使ってクラッチワイヤーを引く仕組みになっているのですが、この「レシオデバイス」はそのてこの比率を変更できるようしてくれます。

 

 

クラッチワイヤーのタイコホルダーを逆向きにすることで、てこの比率が変わりクラッチが軽くなります(意匠登録第1416268号)

 

こちらが通常のタイコの位置。引きは若干重くなりますが、引きしろが長く、遊びが短くなるためクラッチのキレがよくなります。クラッチの遊びを大きくとりたい場合は、この位置にしておくことで確実にクラッチを切ることができますよ。

手のサイズや力は人によって異なるもの。しかし純正では、引きしろの始まり位置を調整できるだけです。クラッチの操作はオフロードバイクにとってとても大事なものだから、初心者にこそしっかり操作できるクラッチシステムが欲しいところです。クラッチの重さや、位置に悩んでいるあなたにぜひオススメしたい!

 

トップクラスのライダーが使うシステム

なお、このピボットパーチはレーシングブランドのZETAらしく、日本のトップレースである全日本モトクロス選手権でも実際に採用されています。

写真のベルズレーシング、柳瀬大河選手はジャンプ中に調整したりはしないそうですが、チーム監督でありライダーの小島庸平選手が同パーツを使っていたときは、ジャンプ中に調整していたとのことです!

 

レース中の転倒でレバーが折れないように、そして純正よりもレバーの遊びを操作しやすいところが採用のポイントです。IAクラスの激しいレースともなると、30分のヒートレースの間にクラッチ板が加熱することで熱膨張が起き、遊びがなくなってきてしまうのです。彼らにはジャンプの滞空時間にさっと遊びを調整できるホルダーが必要でした。ピボットパーチはもともと、そんな高度な要求に応えるために開発されたのです。

こちらはセローの純正アジャスター。信号待ちでさっと調整というわけには……なかなかいきません

トレールバイクにとっても、そのレースの高い要求はとても便利な機能として働いてくれます。ピボットパーチに備えられたアジャスターは純正よりも大型になっていて、信号待ちのちょっとした隙間時間にクラッチの遊びを調整できるものです。純正だと、このアジャスター部分に力をかけづらくて時にラジオペンチなどの工具が必要になる場合もありますね。

ピボットパーチなら、ストレスフリーです!

 

さらにトレールに特化した「ウルトラライトクラッチパーチ」

ZETA
ウルトラライト クラッチパーチ
商品名 : ウルトラライトクラッチパーチ
品番: ZE43-5001
価格 : ¥10,780(¥9,800)

商品名 : ウルトラライトクラッチパーチ
ミラーホール付き
品番: ZE43-5011
価格 : ¥12,100(¥11,000)

もうひとつついでに言っておきましょう。さらにレシオデバイスをver2.5までアップデートし、2段階調整→4段階調整まで進化したウルトラライトクラッチパーチです。こちらは削り出しではないのでお値段もお手頃。最弱の設定にすると、とてつもなく軽いクラッチが手に入りますよ!!

ピボットレバー単体でも、折れる可能性はとても少なくなります! それに削り出しでカッコイイ!

 

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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