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FOX V1ヘルメットを3世代の進化を振り返りつつインプレッションしてみた

2022年、FOXの公道走行可能なオフロードヘルメット「V1」の取り扱いが復活しました。今や多くのヘルメットに搭載されている回転衝撃保護システムMIPS®を新たに採用し、軽量かつプロテクション能力に優れた最新モデルとして登場したのです。RIDE-HACK編集部では過去2世代のV1ヘルメットを保管していたので、最新モデルと比較しつつ、その進化の過程を世代ごとに振り返ってみることにしました。

帽体形状とバイザー、顎部分の進化を比較

まずは2世代前のV1がこちら。

帽体はインジェクションモールドで成型されたポリカーボネート製シェルで構成されており、9箇所の吸気口と4箇所の排気口を備え、世界的なヘルメットの安全基準であるSNELL規格とアメリカ政府の定めたDOT規格をクリアしていました。さらに日本の公道で使用する際に必要なSG規格にも適合、MFJレース公認も取得してレースでも使用できる点から、多くのライダーに愛用されてきました。価格も3万円前後と手に取りやすかったことから、エントリーモデルとしても人気がありました。

そして1世代前のV1。

バイザーをマグネットで固定する革新的なアイディアを取り入れ、レースなどで転倒した際にはバイザーが外れて頭部への衝撃を軽減するシステム「MVRS(マグネティック・バイザー・リリース・システム)」を導入。帽体には新設計のインジェクション成型ポリカーボネートとABSシェルを採用し、軽量化を実現しました。通気口のサイズも大きく、軽量化に繋がるだけでなく、快適性の向上にも寄与しています。

帽体の形状が大きく変わっているのが写真からもよくわかりますね。さらに大きく変化しているのはバイザーの形状と顎部分のスマートさです。

最後に新登場の新世代V1。

FOX
V1ヘルメット バンカー
¥41,250(税込)
カラー:グレーカモ
サイズ: S(頭囲55-56cm)・M(頭囲57-58cm)・L(頭囲59-60cm)・XL(頭囲61-62cm)

1世代前と同じくインジェクション成型ポリカーボネートとABSシェルを採用しており、さらに帽体と内装の間にはMIPS®を内蔵。転倒時の衝撃を回転方向に逃してあげることで頭部を保護します。バイザーはマグネット式ではなく2世代前と同様にスクリュー留めに戻っており、角度調整が可能に。1世代前よりもさらに顎部分が細く突出しており、バイザーの肉抜きも大きくなっています。

ディティールを細かくチェック

ニューV1のバイザー留め部分。一般的なスクリュー式で3段階の高さ調節が可能。昨今ではバイザーは一番高くしておくのが視界確保の点でもベーシックなため、無段階である必要ななさそうです。また、おでこ部のスクリューはなくなり、左右の2箇所だけで調整できるようになったのはメリットと言えるでしょう。

肉抜きされたシャープな顎部分の先端には取り外し可能なマウスピースが装着されています。

バイザーの形状や肉抜き面積も新型が一番優れているように見えます。特にセンター部分のスクリューがないことで、転倒時にバイザーが外れて頭部を保護する機構は、前モデルのマグネット式の良さを踏襲しているとも言えるでしょう。

DOT、SG規格を通過しており、安全性は折り紙付き。ヨーロッパよりも厳しいと言われるアメリカの規格をクリアしています。さらにMFJ公認も取得しているため、レースに出る時も安心です。今回から新しく搭載されたMIPS®のシールもありますね。

内装はもちろん取り外して洗濯が可能です。

内装を外すと、MIPS®のレイヤーが姿を見せます。触ってみると、固定されておらずどの方向にも動くことがわかります。転倒などで回転方向に衝撃が加わった時に、このレイヤーが回転方向と相対的に動き、衝撃を逃してくれるのです。

軽量かつバランスの良い重量
通気性の良さが快適

実際に3つのヘルメットを編集部・伊井が着用してライディングしてみました。コースは埼玉県モトクロスヴィレッジ。

いつもヘルメットはLサイズだった僕ですが、実は今回のV1、被ってみたらXLサイズがしっくりきました。「ちょっと重くなってしまうかな?」という危惧はありましたが、旧モデルと被り比べてみると、圧倒的に軽く感じて驚きました。実際に重量を計測してみるとXLサイズで1,506g。1世代前のマグネットタイプ(Lサイズ)が1,590gで、2世代前(Lサイズ)は1,440gでしたので、マグネットタイプに比べると実際に軽くなっていましたが、2世代前よりも軽く感じたのは、重量バランスによるところが大きいせいかもしれません。なお、公式のフィッティングガイドによるとLサイズとXLサイズで約100gの重量差があるようなので、Lサイズ同士で計測すれば最新モデルが最軽量になりそうです。

モトクロスでは頭の位置をなるべく固定して、ギャップを超える時でもヘルメットが上下に揺れないように走るのが基本中の基本です。さらに走りながら頭の位置を前後することで微妙なトラクション・コントロールすることもあり、ヘルメットの重量バランスはライディングにとってとても大切な要素と言えます。

続いて感じたのは通気性の良さです。ヘルメット前面に配置された通気口の数は7つ、後ろ側に配置された排気口の数は4つとなっています。2世代前から比べて通排気口のサイズがかなり大きくなっていて、ヘルメット内の換気性能は桁違いに良くなっています。さらに前モデルよりも大きく前に張り出した顎部分の形状と、大サイズのマウスピースのおかげで口元からの空気の流入量も十分で、走っていて息苦しさを全く感じませんでした。

なお、このV1はセンター部分の内装をMIPS®に取り付ける構造になっているのですが、だからと言って内装が、ひいてはヘルメット全体が動いてしまって走りづらさを感じるようなこともなく、フィット感も上々。

軽量かつフィット感に優れ、安全性と通気性を向上させて進化を遂げたV1ヘルメットは、林道ツーリングやモトクロスレースはもちろん、モタードやオフロードモデルを通勤・通学に使用するライダーにも歓迎されることでしょう。

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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