バイク メンテナンス

日々の積み重ねが大事、トレールマシンを綺麗に保つ方法

汚れが蓄積しやすいトレールマシン。愛車を綺麗に保つべく、日常的に行える簡単な手入れ方法をご紹介。

トレールマシンは汚れが「蓄積」する

モトクロスなどで使うレーサーマシンは走行時に土がたくさんつくということもあり、走行後に洗車するという流れが基本になっています。一方で、トレールマシンは毎回泥だらけになるという機会は滅多に無く、走行後に洗車する習慣が無いに等しいでしょう。とはいえ、雨に濡れた後や林道走行後など日々汚れはついてきます。つまり、洗車回数が少ないトレールバイクは汚れが「蓄積」しやすいのです。

蓄積した汚れを放置したり、手入れを怠ると、マシンの見た目に汚れが目立ち始め、最悪の場合マシンの故障につながっていきます。これを防ぐために日常的な手入れが大切になってきます。手入れをすることでマシンを綺麗に保つことができるのはもちろん、マシンの状態を把握することが可能。サビや汚れによるバイクの劣化を防ぐこともできます。

日常的にできる手入れ方法

今回、トレールマシンの手入れ方法を、連載企画「DIYメンテ de オフロードバイクが巧くなる!」でお馴染み、ビバーク所沢の渡辺健さんに取材しました。マシンはセロー250。雨ざらしにしていたり、走行後に洗車をしばらくしていない状態はこの企画にピッタリ。マシンをパッとみただけでも汚れが目立つところがここにもあそこにも……。

汚れは目に見える部分とぱっと見ではわかりにくい部分に分かれます。まずはパッと見て汚れが目立つ部分を探していきます。

ブレーキローター

初めに目についたのは、ホイールとブレーキローター。ブレーキ周りの手入れというと、ブレーキディスクなどを見ることが多いですが、実はブレーキローターこそ汚れが溜まっているところ。ローターの穴を見てみると、ブレーキディスクが摩擦で削れた時に出た粉が溜まていました。

汚れの落とし方としては、洗車時に一緒に洗ってしまうのが簡単な方法ですが、ウエスでも汚れを落とすことが可能です。蓄積した汚れを取り除くことで、ローターの滑りがよくなります。地道な作業になりますが、定期的にチェックしておきたい部分。

チェーン

足回りを見た次に目に入るのは、チェーンですよね。パッと見ただけで汚れているのがわかります。手入れしていないのがバレてしまう…。

MAXIMA チェーンクリーナーチェーンワックス

見つけた汚れを早速落としていきましょう。チェーンの手入れには、チェーンクリーナーとチェーンワックスを使います。まずは、チェーンクリーナーを使って汚れを落としていきます。

吹きかける時のポイントとしては、ダンボールなどをチェーンの後ろに挟んでおくと他の部分に汚れが飛び散りません。スプレーを吹きかけて汚れを落とす場合、どうしても他の部分に飛び散り、余計に汚れをつけてしまうこともあると思いますが、段ボールを挟むという一手間で、無駄に汚さず手入れを行えます。

チェーンクリーナーを吹きかけた後はタオルやいらない布などで拭いていきます。ブラシでゴシゴシ擦る人もいますが、ウエスでも汚れは十分落ちてくれます。

拭き終わるとウエスは真っ黒。いかに汚れが溜まっていたか、目に見えてわかりますね。なお、チェーンの隙間や中も綺麗にする必要がありますが、チェーンを取り外して手入れするまで余裕がない時もあります。日々の手入れとしては、表面の汚れを取り除き、汚れの蓄積を防ぐことが重要だそう。

クリーナーで汚れを取り終わったら、チェーンワックスでコーティング。コーティングすることで、汚れの付着を防ぐ効果があります。雨ざらしになるチェーンは汚れが溜まりやすく、放置しておくとサビてきてしまいます。一度サビてしまうと落とすのがかなり大変なため、サビが広がる前に手入れをしておきましょう。

なお、チェーンを綺麗にする時にはジョイント部分(結合部分)が削れていたりしていないかの確認も同時に行うと良いです。チェーンを留めているクリップが削れていると、チェーンが外れる原因に繋がってしまいますからね。

チェーンの緩みの確認も、手入れのタイミングで確かめておけば故障のリスクを未然に防ぐことができます。なお、セローのチェーンはスイングアームにくっついてしまいそうなほど緩んでいました。この場合、チェーンがスイングアームと並行になるくらいの緩みを基準に調整するのがベストです。

サイドスタンド

マシンを支えるサイドスタンドは、目で見ただけでは汚れがわかりにくい部分かもしれませんが、実はかなり汚れが溜まっています。ピボット部分に汚れが見えたので取り外して確認してみます。

「動きが重くなってきたなと感じたら、グリスがなくなっていたり、ほこりなどが溜まっている可能性があるので注意。乗り降りするたびに必ず自分で動かす部分だからこそ、使用感の変化には気付きたいところだよね」と、渡辺さん。

今回使用したセローも動きに重さが出ていました。見てみると、グリスがついている感はゼロ。

各パーツの汚れを落としていくと……、なんとボルトの溝にはグリスの代わりに泥が詰まっていました。

グリスが無いと鉄と鉄で摩擦が起き、部品の劣化や固着に繋がってしまいます。グリスの代わりに泥が詰まる前に、グリスアップをすることが大切です。

グリスはMAXIMAの「ウォータープルーフグリス アンチモンフリー」を使用。グリスは動きをスムーズにするだけでなく、衝撃吸収材としての効果もあるのでしっかり塗りましょう。

再度取り付けて完了。動作を確認すると、動きに軽さが戻りました。長く乗っていると、ボルトや装着部分が摩擦によってすり減ってきます。取り付けの際には、ネジがちゃんと閉まるか、不安定ではないかを確認しておきましょう。万が一、不安定感があるなどの違和感を感じたら修理や交換を検討しましょう。

エアクリーナー

最後に見るのはエアフィルター。シートを外して見ないといけない部分のため、なかなか汚れが溜まっていることに気づきにくい場所になります。

エアクリーナーボックスを開けてみると、「これは汚いわ……」と渡辺さんは思わず苦笑い(笑)。これだけ汚れが溜まっていると、エンジンのかかりにも影響が出てしまうため、こうなる前に手入れをすることが大切です。

乾式のエアフィルターはトレーやペーパーの上にコンコンと叩きつけて、汚れを落としていきます。簡単な作業なので、10分ほどあれば余裕で手入れが完了します。実際にやってみると、写真のように砂やほこりが大量に出てきました。

なお、やってはいけないエアフィルターの清掃方法は、エアーを吹きかけて汚れを落とすこと。エアーを吹きかけることで汚れがさらに奥に詰まってしまう危険性があるからです。セローについていたエアフィルターは乾式で、シリコンオイルを染み込ませた紙を使用しているもの。水に濡らすと水没してしまう恐れがあるため、水洗いもNGです。

と説明しましたが、ZETAの「ハイフローエアフィルター」は水洗いが可能な仕様。水洗いで綺麗にしたい! という方は、こちらのエアフィルターに付け替えるのもおすすめです。

使用方法:https://youtu.be/0HnzJYq-Hcc

エアクリーナーの汚れを落としきったら、エアクリーナーボックスの中に汚れなどが詰まっていないか確認。元に戻して完了です。

「空気を通すエアフィルターは、クリーンな空気を保つために大切な部分。空気はエンジン性能にもつながるため、ちゃんとケアしておく必要があります。例えるなら、エアフィルターはみんなが普段つけているマスクと一緒。どちらも吸った空気を綺麗に保つ役割がありますが、汚いマスクをずっとつけていたいとは思わないでしょう? エアフィルターマスクのようには使い捨てとはいきませんが、汚れが溜まったらしっかり綺麗にしてあげることが大切です」と渡辺さん。毎日チェックする必要はありませんが、見えない部分だからこそ定期的にチェックをして汚れの蓄積を防ぐことが大事です。

手入れしたついでに、トルク管理

汚れの手入れをする時間はマシンの状態を把握する良い機会です。時間があるときは、各部の汚れをチェックしながら、ネジが緩んでないかのチェックをすることをおすすめします。

乗車時の振動はネジの緩みの原因になります。定期的にトルク管理をしておくことで、気づかないうちにネジが外れていた……ということを防ぎます。とはいえマシン全体を細かくチェックするのは大変ですよね。日常的にチェックしておいた方が良い部分としては、手入れをした部分に加えて、アクスルナット/リヤフェンダー裏/ナンバープレート。これらが意外と緩みがちな部分だそうです。

なお、ネジを締めた際、ペンでマークしておくとネジの緩みを視認することができます。印がズレていたらネジを閉める、というようにタイミングも測れるのも嬉しいポイントです。

トレールマシンの汚れは「蓄積」するもの。つまり、日常的に手入れをしておけば防げるものが多くあります。今回ご紹介した手入れ方法は10分ほどでできる簡単さも魅力。日々手入れを積み重ねて、マシンを綺麗に保っていきましょう。

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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