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ダートバイクプラス神戸オープンの裏側に迫る

2024年2月23日、ダートフリークの直営店舗「ダートバイクプラス神戸」が開店。一体どんなお店なのでしょうか? 取材してみると、バイクショップ「X-UP(クロスアップ)」との深いつながりが見えてきました

ダートバイクプラス神戸
〒651-2412 兵庫県神戸市西区竜が岡1丁目7−9
営業時間:10:00〜19:00(月曜定休)
TEL:078-777-1102

ダートバイクプラスはダートフリーク直営のオフロード用品店です。本店となる瀬戸店、札幌店、2023年8月にオープンした大阪店があり、神戸店はその4店舗目としてオープンしました。新店舗となりますが、この店舗の場所や外観に見覚えがある人もいるのではないでしょうか。というのも、神戸店は元々「X-UP(クロスアップ)」というバイクショップでした。元店主・山岡さんの引退を受け、その意志を引き継ぐかたちで店舗を「ダートバイクプラス神戸」としてリニューアルしたのです。

そもそもクロスアップとダートフリークの関係とは? どのような経緯で開店に至ったのか? その背景を、ダートバイクプラス神戸店店長の小川さんとスタッフの後藤さんにインタビューしました。

約30年。ダートフリークとクロスアップの関係

ダートフリークの始まりは、初代社長の諸橋氏が1人でオフロード用品の業販を始めたことがきっかけでした。最初は川崎でお店を出していましたが、通信販売で愛知県からの注文が多いということで、名古屋に移転してきたそうです。神戸店店長の小川さんに話を聞くと、名古屋のダートフリークと神戸のクロスアップは開店以前からの深いつながりがあったといいます。

小川さん「実は、クロスアップの元店主・山岡さんはダートフリークの元社員で、自分は山岡さんの後輩にあたります。僕がダートフリークに入社したのは30年前ですかね。名古屋に移転してきた当時に店舗で働いていたのが山岡さんで、僕は元々お客さんとして店舗に通っていました。そんな時に、ダートフリークが社員を募集しているということで、応募して僕も働き始めました」

当時本社の前で撮影した写真。左から山岡さん、小川さん、諸橋元社長

小川さん「僕が入社した当時から山岡さんは店舗で、自分は業販を担当していました。そして一緒に働いて3年ほどが経った頃に、山岡さんが独立して神戸にオフロード用品店「X-UP(クロスアップ)」を出すことになりました。独立にあたって私も開店準備やオープン当日の手伝いをしたり、実は開店当時からこのお店に携わっていたんです。当時はまさか自分がクロスアップを引き継いで店長になる日が来るとは思っていませんでした(笑)」

山岡さんの独立後は、先輩・後輩という関係性から取引相手という関係でお店に携わっていたと言います。

小川さん「自分は業販担当だったので、商品の注文を受けたり、製品情報を渡したり、山岡さんとは取引相手として携わっていました。クロスアップがオープンしてから2023年の夏に閉店するまでの27年間、ずっと担当していましたね。クロスアップを閉めることが決まった時も手伝いに来ました。なんだかんだ僕が入社する前から閉店まで、関係が途切れることなく今に至ります」

山岡さんの引退。小川さんも新たなステージへ

60歳になった時、将来を見据えた山岡さんはクロスアップをダートバイクプラスとして引き継いでくれないかと小川さんに相談をしたといいます。

小川さん「山岡さんからクロスアップを辞めたいと聞いた時は、正直辞めないで、と思いました。これまで山岡さんから色んな相談を受けてきて苦悩があることもわかっていたので、例えばクロスアップをダートバイクプラスのフランチャイズにすることで、バックアップ体制を整えて、山岡さんが働き続けられるようにするのはどうか、などいろんな案を出して話し合いました。ただ山岡さんの決意も固かったため、ダートバイクプラスとしてお店を引き継ぐ方向で落ち着きました。これまで頑張ってきた姿を見ていたので、止めることはできませんでしたね。

店舗を引き継ぐ話が決まったその日に、ダートフリーク現社長の石田さんから『小川くん店長やってみない?』とお話をいただきました。まさか自分とは思っていなくて驚きましたが、山岡さんがやってきたお店を引き継ぐことができるのは嬉しかったです。これまで30年営業として働き続けてきましたが、このタイミングで新しいことに挑戦できる機会をいただけて、不安よりも嬉しさや楽しみな気持ちが大きいです。ただ、これがまた全然違う場所、例えば大阪店の店長をやってくれという話だったら気持ちもまた違ったと思います。馴染みのある山岡さんのお店を、同じ場所、同じスタッフで引き継ぐことができるというのは、僕にとってとても嬉しいことでした」

勤務歴17年。看板店員の後藤さん

ダートバイクプラス神戸にはもう1人スタッフの後藤さんが働いています。彼女は元々クロスアップで働いていたスタッフ。ダートバイクプラスにリニューアルした後はダートフリーク社員として店頭で働くことになりました。

クロスアップで働き始めたきっかけを聞くと、「クロスアップに入ったきっかけは、たまたま求人を見かけて応募したのが始まりでした。19歳の時に働き始めて、1年経った頃に一度辞めたんですけど、私の後に入ったバイトの子がやめてしまった時に山岡さんが再び私に声をかけてくれて、そこから17年間クロスアップで働き続けてきました」とのこと。17年間、クロスアップの看板店員としてユーザーから信頼を集めてきました。

また、後藤さんは「家族はバイクが好きで乗っていたのですが、働き始めた当時私は原付しか乗っていなくて、お店に入ってお客さんと話す中で私も乗りたいなと思って、中型免許を取りに行きました。今は大型免許も取って乗っています。今持っているバイクはオフロード車だとセローとCRF125F、公道用だとビッグスクーターとドゥカティのモンスター796ですね」と話し、クロスアップでバイクの魅力に気づいたと言います。

クロスアップとダートフリーク、両者の良さを兼ね備えたお店へ

小川さん「山岡さんは、引退する時に『27年やってきたけど何も残せてない』と話していました。でも全くそんなことはなくて、人当たりも良いし面倒見も良い山岡さんだからこそ、頼ってきた人がたくさんいます。ダートバイクプラスになると決まってから、後藤さんにクロスアップ時代のお客さんから連絡がくることもあって、2人がクロスアップで築いてきた信頼関係はすごく厚いんだと実感しています。

だからこそ、ダートバイクプラスになるからといって雰囲気をガラッと変えることはあまりしたくないと思っています。クロスアップの時と変わらず、同じ場所で同じようにオフロード用品を売っていくわけなので、山岡さんが築いてきた基盤を残しつつ、運営していきたいです。

クロスアップの良さは、山岡さんと後藤さんの人柄の良さですよね。このお店は人柄で繋がっているお店だと感じていたので、そこを大切に、お客様1人1人に対して丁寧な対応を心がけていきます。一方で、ダートフリークの直営店舗になるので製品内容が変わってきますし、ダートフリークとしてのやり方ももちろんあります。どちらかに合わせるというよりは、両方の良さを取り入れて、バランスをとっていきたいと思っています」

これまで店舗で働いてきた後藤さんは「私はこのリニューアルを経て、クロスアップにダートフリークの強みが加わった、と捉えています。今はネットで物が買える時代なので、ネットで済ませてしまう方が多く、実店舗としての価値が変わってきていると実感してます。ただ、やっぱりウエアなどのサイズ感や使用感は、実物を見ないとわからないところが多いので、お店に来て実際に試着をして買ってもらえるように、接客をしていきたいと思います」と語ります。

クロスアップを引き継ぎ、リニューアルされた店内

ダートバイクプラス神戸は、クロスアップの店舗を改装してオープンしました。店内の広さは他店舗と比べると狭めですが、その分ダートフリークの主力商品が凝縮されています。今回はオープン前にお邪魔し、店内を見させていただきました。

まず、お店に入って目に入るのがオフロードウエアです。FOXやFASTHOUSE、DFGなど主力ブランドがずらりと並んでいます。モデルごとに各サイズが揃っているため、自分に合ったサイズを手に取って見ることができます。店内のスペースに限りがあり、ここに並びきっていないモデルもあるそうですが、店頭に無い商品は取り寄せが可能。すぐに対応できるのは直営店ならではの強みですね。

さらに、ウエアコーナーの横には試着室が完備されています。小川さんは「ウエアがこれだけあるので、ちゃんと試着できるように立派な試着室を作ってもらいました。中は人が3人くらい入れる広さで、鏡が2枚ついています。オンラインで見て買うという方も多いと思いますが、ウエアによってサイズ感がかなり違うので、店頭に来た際には現物を試着して、そのサイズ感を確認してほしいです」と語ります。

店内の中央付近には、ケミカル系がまとめて置いてあります。泥汚れが真っ白になると注目を集めるFlat Lab.のギアウォッシュもたくさん。雨の日の練習帰りはここでギアウォッシュを買って帰りましょう!

店頭に置いてある商品の中でも特に多いのがハンドル周りのパーツだそう。写真からも伝わる量の多さは店頭で見ると圧倒されますが、全て品番ごとに1つずつ並べてあるため、目当ての商品が決まっていればそこまで時間がかからずに見つけられるはず。

工具やサイレンサーも充実しています。なお、接客は小川さんと後藤さんで担当を分けて行っていくそう。小川さんは「ハードパーツは僕が、ヘルメット・ブーツ・ウエアなどのフィッティングが必要なものは後藤が担当します。特に後藤は17年間クロスアップで接客を続けてきたので、そのスキルをここでも存分に生かしてもらいたいと思います」とのこと。わからないことがあれば遠慮なく相談してみましょう。

これまで見てきたように、店内に入って一番奥まで進み、右回りに店内を歩くと、ウエア→ケミカル類→ハンドル周りのパーツ→工具やサイレンサーなどの吸気系パーツ→ブーツ→ヘルメットという流れで見ることができます。

もちろん、オフロード用品だけでなく、ツーリングや公道用バイク向けの製品も揃っていますよ。

今回の取材を通して、ダートバイクプラス神戸オープンの背景には、元店主・山岡さんとダートフリークの絆の深さが感じられました。お店は変わりますが、「引き継ぐ」という言葉の通り、クロスアップの魅力も健在しています。近くに住んでいる方はもちろん、練習やレースで神戸に訪れる際にはぜひ足を運んでみてください。

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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