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大人気レース、JNCCに出よう!初めてのあなたへ送る参戦ガイド

日本で今もっとも参加者を集めるクロスカントリーレースシリーズJNCC。参戦に必要なものやスケジュールの立て方などをピックアップしてみました

まずは参戦計画から。自分にあったレース/クラスの選び方

JNCCは全日本クロスカントリー選手権を標榜しているだけあり最高クラスのレベルは非常に高いのですが、初中級者向けの懐の深さも魅力です。ざっくり説明すると、レースは3時間のCOMP GPと90分のFUN GPに分かれています。COMP GPは設定されるコースの難易度が高く上級向けですが、FUN GPのほうは体力が無く長いレース時間は苦手というスプリントライダーにも好まれているため、上位陣のスピードはそこまで大きく変わりません。また、どうしてもペース配分が難しく、後半は大勢のスピードが落ちてくるCOMP GPに対して、FUN GPは90分ずっとハイペースで走れます。

 

ただ、JNCCは基本的に各クラス同じ時間にコース上を混走します(※詳しくはJNCCのレギュレーションをご覧ください)。主催者の長年の啓蒙活動によって、スピードを出せないライダーにとっても参戦しやすい雰囲気が醸成されており、全日本モトクロス選手権のチャンピオンクラスの上級ライダー達も、ペースの遅いライダーをパスする時は細心の注意を払い、ぶつけたり罵声を浴びせるようなことはありません。「先行きまーす!」などのかけ声と共に、さわやかにパスしてくれるので混走を恐れる必要はないでしょう。オフロードに対する一定の走破力があれば、どちらのレースに出ても楽しめるハズ。もちろんビギナーにはFUN GPからのエントリーをおすすめします。

COMP GPは最上位のAAから、A、B、Rの順にクラス分けされています。COMPが初めてのライダーはRクラスへ。JNCCの昇格基準を満たせばライセンスが発行されて上のクラスに挑戦できる仕組みです。JNCCの説明によればCOMP Rは中級者ですが、各地の草レースに出場してきた程度の腕があれば十分に楽しめるはずです。

FUN GPはこのくらいの丸太で許してもらえますが

COMP GPは猛者達が次々に転ぶ丸太地獄に案内されます。こちらはエコーバレー大会の名物セクション「カオス」

FUN GPは最上位のFAから、FB、FC、FDの順にクラスが用意されており、そのほかにもベテランシニア向けのSA、女性向けのWAA、WA、WB、WDと分かれています。ライセンスが必要なのは、FA、SA、FB、WAA、WA。つまりCOMPとは違って自己申告でFC(中級)かFD(初級、女性ならWBかWD)を選ぶことが出来ます。FDは本当の初心者向けとされていますが、参考までに20年オフロードバイクに乗っている筆者は万年FD。そしてFCクラスはエントリー台数100名を超えることもあり、JNCCで最も層が厚いクラスになっています。ここからFBのライセンスをゲットするのは、なかなか大変です。もし自信がなければ、JNCCが運営するサンデーライダー向けレースであるWEX(ウィークエンド・クロスカントリー)から参加してみてもいいかもしれません。こちらは、120分、90分、50分の3本立てでさらに参戦しやすい雰囲気ですよ。

エントリーはJNCCのウェブサイトから。2週間前までにエントリーすれば通常料金、そのあとは6日前まで+2000円のレイトエントリー扱いとなります。人気ラウンドは早期締め切りの可能性も高く、過去にはあっと言う間に埋まってしまい、エントリー枠争奪戦となったこともあるほどです。早めの行動が吉ですね!

 

レースに必要なものは?

基本的には適切な装備とバイクがあれば、JNCCに参加が可能です。トレールバイクで現地まで行って自走参戦もできなくはないのですが、できるだけトランポでバイクを運んで参戦することをオススメします。ケガをしてしまったり、バイクが故障すると自走で帰れなくなってしまうため周りにも迷惑がかかります。

筆者は家庭用プリンターで耐水性のあるシール用紙(5枚1000円くらい)にゼッケンをプリントアウトしています。もちろんデカール屋さんに作ってもらえば格好良くなります! JNCCに継続参戦するなら固定ゼッケンが得られるので、年の初めに作って貰う人も多いですね

2024年現在の規則では、チェーンガイドなど純正でついている装備以外に必要なものはハンドガードとゼッケンくらい。サイドスタンドを外したり、テーピングやワイヤリングをする必要もありません。ヤマハYZ250FXや、KTM 250EXCなどの定番バイクであればほとんどそのまま参加できるところも魅力ですね。ただ、レースに転倒はつきものなので、ガード類やハンドルまわりの破損対策はしておきたいところ。ぜひ「YZ250FXを手に入れたら装着すべきもの7選」も参考にしてみてください。特に、ピボットレバーはぜひ装着しておきたいですね。なお、ラウンドによってはタイヤ規制が入る場合があるのでご注意を。

ハンドガードは規則で義務づけられています

装備類で注意すべき点は、自転車用のフルフェイスヘルメットは禁止されていること、長時間のレースなのでハイドレーションパックが必須なことです。

 

土曜日の過ごし方

さて、ここからはレースウィーク実践編です。東京在住の筆者が参加した2024年のJNCC第7戦エコーバレー(長野県)をベースに説明します!

中日本・関東のレースが多いJNCCに参戦するほとんどのライダーは土曜朝に移動しています。土曜は下見や最新バイクの試乗会などのコンテンツがあるため、できれば早めの時間に会場入りしておきたいところ。ほとんどの大会で土曜の9:30からゲートオープンで入場できるようになります。

ぜひ下見はe-EDIT275で!

10:00から16:00までレースで使うコースを自由に下見できるのですが、この下見にはEバイクを使うのがブームとなりつつあります。ダートフリークで発売されたばかりのe-EDIT275も、特に歩いて下見するのがキツイゲレンデのレースでは最高に便利です。筆者はトップライダーの馬場大貴と共にe-EDIT275でエコーバレーを下見したのですが、1時間くらいでざっくりその概要を知ることができました。また、トップライダーによる下見ツアーがお昼頃に開催されているので、これに参加するのもおすすめです。下見で何を見るべきなのか、どういうラインどりがいいのかをしっかり教えてもらうことができます!

CROSS SECTION
e-EDIT275
¥297,000(税込)

モデルチェンジの時期は順番待ちになる試乗会

お昼以降に行われる最新マシン試乗会は、各メーカーがこぞって試乗車を持ってきています。短いながらもクロスカントリーらしいフィールドが用意されていて、存分にニューマシンを試すことができます。レースにエントリーしていなくとも本部で保険代を払えば試乗車に乗ることができるので、これだけでも会場に来る価値がありますね。

本部で受付をしてトランスポンダーを受けとりましょう

トランスポンダーはフォークの左側に取り付けること。意外と逆にしちゃってるライダーいるそうです

なお、土曜・日曜ともにレースの受付が開いています。JNCCの場合、車検はありません。

 

お買い物も大きな魅力

 

2024年は全ラウンドでダートフリークブースを展開してきました。ブースにはダートバイクプラスのスタッフやダートフリーク社員が常駐していて、新商品を手に取って説明を受けられるだけでなく、お買い物も楽しめます。

ダートフリークブースへぜひお越しください!

筆者はハンドガードをつける時間がないまま会場入りしてしまったため、助けを求めてダートフリークブースに駆け込んだのですが、ダートバイクプラス本店の寺尾店長に「レース会場などで早急にクローズドハンドガードを付けたい時は、ODIのロックオングリップがオススメです!」ととても有用なアドバイスをもらえました。ODIのロックオングリップは接着剤がいらず六角レンチで締め込むだけ。そこまでは知っていたのですが「実は、グリップエンドにきれいに穴をあけられるように設計されているんです」とウラワザを披露。カッターと長い棒があれば、レース会場などの現場できれいにクローズドハンドガードを装着できるのです。

寺尾店長がオススメしてくれたODIのロックオングリップ

カッターで先端の部分に軽く切れ目をいれておくだけで

ぱこっと長いもので叩いてあげれば

きれいに穴が空く仕組みです。ステキ

ブースの品揃えは新しい商品だけでなく、ついつい忘れがちなパーツや用品を豊富にラインナップ。さらには当日限定のセール品もあるとかないとか?。一度は覗いて見ることをおすすめします。

 

雨に向けて準備

エコーバレーは、雨が降りそうな気配なのでマディ対策を急ぎました。まずはゴーグルの準備。1つにロールオフをセットして、もう1つのゴーグルにはKUREのレインホッパーというフィルムを貼ってあります。泥が飛んでくるようなシチュエーションになったらロールオフを使い、雨がゴーグルにあたるような天候だったらレインホッパー付きをチョイスする目論見です。

用意した2種類のマディ対策ゴーグル。結局、小雨だったのでレインホッパーを貼ったゴーグルで走りきりました

マシンにはMAXIMAのSC-1を吹き付けておきます。身体が触れる部分やブレーキディスクは滑ってしまいますが、フェンダー裏などに吹いておけば泥の付着を防いでくれる優れものです。本格的なマディになるなら、ZETA RACINGのフェンダーマットを装着することをオススメします。マディは多いときで20kgほどの泥がマシンにまとわりつくことになり、一気にバイクが重くなります。転倒時の引き起こしなどでは、如実に体力を奪われるので泥の付着対策は念入りにすべきです! もちろんSC-1やフェンダーマットもダートフリークブースに用意がありますよ〜。

筆者ではないのですが、当日ダートフリークブースでSC1を吹きかけている方がいらっしゃいました!

車中泊か、ホテル泊か。仲間との飲み会も楽しいJNCC

「レースの何が楽しいって、前日夜の飲み会でしょ」という意見に同意してくれる人はきっと多いはず。JNCC会場で車中泊する場合は23:00で消灯の決まりがありますが、それまではパドックの至る所で宴会が開かれています。日が暮れたら近所の温泉に浸かって、さっとパドックに戻ると楽しい夜が過ごせますね! ちなみに土曜日夜は会場のゲートが閉鎖されます。それまでに戻らないと会場に泊まれないのでご注意を……。

エコーバレーの近所にあった白樺リゾート。こちらのお風呂が最高過ぎでした。サウナ好きのライダーに多数遭遇……

ちなみに筆者のささやかな楽しみはJNCC会場付近の温泉施設です。サウナマニアなので、会場に行く前には必ずサウナの評判のいい温泉施設を調べていきます。土曜の夜も、日曜もレース帰りも、たいてい近くの温泉はJNCC参加者が大勢浸かっていて、バイク談義に花が咲きます。

 

とはいうものの、レースを真面目に過ごしたい人は深酒を避けて、パスタなどの炭水化物を多めに摂ってカーボローディングすることをおすすめします(筆者個人の感想です)。

 

レース当日、移動は早めに!

さて。ここまで準備できればもう当日走って楽しむだけ。でも、一つ言っておきたいことがあります。レースのスタート順です。オートバイレースにおいて、いいスタートを切れるかどうかは好成績を残すための絶対条件です。長時間のレースですが、他の本気で走っているライダーを抜くのは相当なスキル差がない限りはかなり大変なことなんです。

ガソリンや予備パーツなどは、ピットに置いておきます。今回はヤマハさんのパドックにお世話になりました。ヤマハさんの場合は、ヤマハ車ならピットを使わせていただけます

JNCCの場合、台数が多すぎるため横一線でスタートできるのは最上位のAAクラスのみ。あとのクラスは数列が一斉にスタートします。このスタート時に後ろの列にいたのでは、とうていいいスタートは切れませんね。前の列に入るのが大事なのはもちろん、そもそもエントリーを早めに行って前の方のゼッケンをとること、そしてスタート列の整列待ちに早く並ぶことです。もちろん、レースの順位なんて関係ないという僕のようなライダーは、パンをもぐもぐしながらゆっくりスタート位置へ向かいましょう。

最後尾に並んでスタートで頑張る気のない筆者。ウエアはDFGのWORXでキメてみました!

  

2024年最終戦は11/10(日)!!

2024年度の最終戦は11/10(日)にAAGP ビッグバード(長野県)にて行われます。
JNCCの初戦は例年2月頃に行われます。是非2025年の参戦へ向け、最終戦を観戦しに行ってみては??

JNCC公式WEBサイト

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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