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全日本モトクロス選手権に参戦するダートフリークライダーズ。レディースクラス#3箕浦未夢

ダートフリークがサポートする全日本モトクロス選手権ライダーはどんな人物なのか、インタビューを通して紐解きます

全日本モトクロス選手権2024シーズンも後半戦。今回は、ライドハック編集部が注目するダートフリークサポートライダーにインタビュー。ライダーを知ることで、レース観戦がさらに楽しくなるはず。お話を伺ったのは、全日本モトクロス選手権レディースクラスに参戦している箕浦未夢(みのうら みゅう)選手です。箕浦選手は現役大学生。スタートの反応の良さが強みのライダーで、2023年はシリーズランキング3位に入っている若手実力派ライダーです。

PHOTO/井上演

きっかけはクリスマスプレゼント

ライドハック編集部伊澤(以下、編):箕浦選手、今回はよろしくお願いします!

箕浦未夢選手(以下、箕浦):よろしくお願いします!

編:全日本モトクロスでのことを伺う前に、まずはご本人のことを聞いていきたいと思います。まずモトクロスを始めたきっかけって何ですか?

箕浦:元々お父さんがバイクが好きで、エンデューロをやっていたので、その影響もあって気づいたら乗ってました(笑)。ただ、お父さんはたぶん私にはやらせるつもりなくて、弟にやらせたかったのだと思います。

というのも、弟にはクリスマスプレゼントとしてヤマハのPW50をあげてたんですけど、私にはなかったんです(笑)。ただ、その時に私が「なんで私にはないの?」って聞いたらしくて、それでもう1台買ってくれて、乗り始めました。

編:たしかに弟だけにあげてたら聞いちゃいますよね。箕浦選手は愛知県の瀬戸市出身ということで、ダートフリークの本社もあればオフロードコースも近くにある印象です。そこで練習を重ねていった感じですか?

箕浦:今はスラムパーク瀬戸が家の近くにあるのですが、私が乗り始めた時はまだ無くて、岐阜県の河川敷や多度のコースで走っていました。そこから65ccに乗り換えて中部モトクロス選手権などレースに出始めましたね。

編:なるほど。そこからはずっとレースに出ているのですか?

箕浦:そうですね、全然速くなかったですが……(笑)。6歳くらいからモトクロスを始め、中部選手権に出て、全日本選手権には12〜13歳くらいの時から出始めました。いろんなコースを回ってみようと最初はスポット参戦していたのですが、一番最初に出場した全日本選手権は岩手県の藤沢スポーツランドでした。

編:当時のことって結構覚えていますか?

箕浦:そうですね、とにかく会場の緊張感に飲まれちゃって、スタートも速いライダーに挟まれてすごく緊張したのを覚えています。飲み込まれないように、もう傷ついていこうという気持ちで挑みました。

編:傷ついていく……なかなか度胸がありますね!

箕浦:実際にトップライダーと走るとスピード感が全然違って、すごく良い経験になりました。その後、数年スポット参戦してから全戦回るようになって、色々なコンディションや土質と、さらにセクションの大きさの違うコースを経験をしたことで自分自身の乗り方にも良い方向で変化が出ていると感じています。

編:経験を実力にしているのですね。

箕浦:速いライダーと一緒に走る中で吸収することも多くて、例えば、久保まな選手や川井麻央選手、本田七海選手の走りからはかなり刺激をもらっていて、学ぶことも多いです。

負けたくない、弟の存在

編:最初は速くなかった……と話していましたが、それでも現在まで続けてきた理由としては、やっぱり楽しいからでしょうか?

箕浦:うーん、楽しいという気持ちもありますが、一番は負けたくないという気持ちが大きいですね。

編:なるほど、レースで負けた悔しさでしょうか。

箕浦:一番近いライバルとして弟がいて、始めた時からずっと弟には負けたくないという気持ちがありました。また、レースに出始めてからは同年代のライダーとも出会って、みんなに負けたくないという思いがありました。結構負けず嫌いです(笑)。

編:たしかに弟さんや同年代の存在は大きいですね……。

箕浦:特に弟は乗り始めたタイミングが同じで、練習も一緒に行くので、かなり意識していました。今は私が150ccマシンで、弟はフルサイズマシンに乗っているのでマシン差があるのですが、小さい頃は同じバイクに乗っていたので、より負けたくないという気持ちがありました。

編:この時はめちゃくちゃ悔しかったな、というレースや思い出はありますか?

箕浦:初めてのレースでビギナークラスに出場した時ですね。そのレースで1位を走っていたのですが、最終コーナーで転けちゃって、最後の最後に弟に抜かれて2位になって、もうそれが本当に悔しくて(笑)。一番思い出深いです。

編:それは悔しい……! 今も一緒に練習に行って競い合ったりしますか?

箕浦:最近は私より排気量の大きいマシンに乗っているので、今は競い合うというより弟に引っ張ってもらっています。

強みはスタート。2年前の最終戦で得た自信

編:箕浦選手の走りを見ていて、強みだと感じるのがスタートなのですが、最初から得意でしたか?

箕浦:元々スタートは出れなくて、弾き飛ばされたこともあります(笑)。ただ、一昨年の最終戦で「前に出れる!」って感じて、その気持ちで挑んだら本当にスタートが決まったので、そこから自信がつきました。1コーナーまでは負けないという自信とアクセルを戻さない勢いで毎回挑んでます。

スタートをミスっても、コーナーまで諦めずに突っ込んでいきます。前に出ることでその後のレース展開が楽なので。ただ、スタートで本当に前に出ると、「前に出ちゃった、どうしよう」と焦ったりします(笑)。

編:勢いが本当に1コーナーまでじゃないですか……!(笑)。とはいえ、その後もレースを引っ張っている姿はいつもかっこいいです。

箕浦:まだまだです。後半も焦らないように頑張っていきます。

「大学で学んだことをモトクロスに生かしたい」

編:箕浦選手は今大学生ということですが、何を学んでいるのですか?

箕浦:スポーツ系の学校に通っていて、アスレチックトレーナー学科で学んでいます。

編:その進路選択にはモトクロスが影響していますか?

箕浦:そうですね、モトクロスに生かせることを学びたいと思ってこの学科に決めました。正直、モトクロスを始めた頃は色んな地方の人とコースで会えるキャンプ感覚で楽しんでいたので、大学生になってモトクロスに関係することを学んで、レースにも参戦している自分は想像できなかったです。本当に両親には感謝しています。

編:大学生活は楽しんでいますか?

箕浦:授業時間の長さや課題の多さが大変ですが、学科の内容的にモトクロス以外の競技をやっている人とも出会うことが多くて、他の競技の身体の動かし方なども知ることができて、すごく勉強になっています。授業でも身体の仕組みやストレッチ方法などを学んでいて、今後学んだことを生かしてさらに速く、強くなっていきたいと思っています。

今年からDFGライダー。ダートフリークは生活圏内

編:そういえばこの前ダートバイクプラス瀬戸店で箕浦選手の弟さんに会いました。すごく家が近いんですよね?

箕浦:そうなんです。家から15分くらいの距離なので、生活の範囲内にダートフリークがある感覚です(笑)。なんなら友達の通学路で、よく通るよ〜って話を聞きます(笑)。

編:そんなダートフリークのDFGウエアを今年から着ていただいてますが、着心地などはいかがですか?

箕浦:小さい頃からお世話になっているダートフリークさんのウエアを着ることができて本当に嬉しいです。最初は今までに着たことないくらい軽くて、「本当に着てる?」って驚きました。また、生地がすごく伸びて、着心地が良いんです。ピタッとした着心地で引き締まったデザインなので、スタイルが良く見えるのも嬉しいです。

編:レディースサイズは無いですが、サイズ感も問題ないですか?

箕浦:生地の伸縮性がかなり効いていて、腰回りも結構伸びるので、シッティングでもスタンディングでも生地が突っ張ることはないです。膝部分も引っかかることがなくて、本当に動きやすいですね。私だけでなく、IAライダーの方なども着ているので、レースの時にはぜひ注目して見てほしいです。

優勝したい。最後まで駆け抜ける!

編:去年はランキング3位に入るなど、着実にトップライダーとして成長を続けてきていますね。

箕浦:一昨年の最終戦で初めてスタートで前に出ることができて、自分自身最高の4位を獲得することができたんです。そこから自分の気持ちが上がって、来年はチャンピオンを獲りにいきたいと思って挑みました。ただ、今シーズンは気持ちが空回りしちゃって、スタートは良いのですが、毎回中盤で転けたりして、なかなか結果を出せていません。

開幕戦なんか練習で気合い入りすぎて転倒して怪我してしまって、それが悔しくて悔しくて……。第3戦はマディコンディションで蟻地獄みたいな場所に引っかかるし……、そういうことが多くあって順位にうまく結びつかないことが続いています。とりあえず、一度は優勝したい。今勢いが止まっちゃってるので、さらに加速して、最後まで駆け抜けたいと思います。

編:応援しています! ありがとうございました!

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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