オンロードもオフロードも存分に楽しめる、まるでトレールバイクのようなEバイクe-EDIT275を北海道で乗ってみました! トランポで運んで美味しいところだけ走る、そんな優雅なEバイクツーリングはいかがでしょう
車で運べば、遊べるフィールドはさらに拡がる
オフロードバイクのレーサーを持っているような人なら、トランポでバイクを運ぶのは当たり前。ライドハックの読者には常識ともいえるスタイルも、「Eバイク」というキーワードで検索してこの記事にたどり着いたあなたには、なんのことやらわからないかも知れません。自転車もスポーツバイクの場合は、遊ぶ場所まで運んで美味しいところだけを乗る、そんなスタイルを選ぶことで楽しみ方を拡げることが出来ます。
Eバイクは少し重さがあるものの、普通の車でも運べるところが魅力です。SUVやステーションワゴンなどであれば前輪を外して車内に積み込むこともたやすいですし、自転車専用のキャリアなども販売されています。今回編集部は、2台のオートバイを運ぶ隙間にe-EDIT275を忍ばせて北海道取材のお供に連れて行きました。山の中まで撮影する足とするにも、キャンプ地からトイレやコンビニなどへのちょっとした移動にも便利で、一緒に持っていったクロスカブ110よりさらに手軽に乗り回すことができて重宝しました。
さらにはその後、編集部でバイクツーリングの取材に道東へ向かったのですが、どうせならとe-EDIT275でプチツーリングも楽しんでみましたよ! ちなみにe-EDIT275はフレームやフォークにダボ穴がたくさんついているし、バッテリー部分にキャリアも用意されていることから、本格的なバイクパッキングツーリングにも対応しています。いずれ、ロングライドにも出かけてみたいですね。
CROSS SECTION
e-EDIT 275e(エディット 275)
定価:¥297,000(税込み)
カラー:アンティークブルー・ジェットブラック
重量:21.5kg(Mサイズ、スタンド、ペダル無し)
■ 最長アシスト距離110km(ecoモード)※条件により異なる場合があります。
■ 国家公安委員会の「駆動補助機付自転車」型式認定取得済みです。
ひたすら上りの“秘境”霧多布岬
北海道は函館付近の道南、札幌付近の道央、宗谷岬を含む最北端の道北、そして根室などの道東の4エリアに分かれています。ご存じの通り、最も栄えている札幌近辺はニセコやルスツなどのきらびやかな観光地も多く、メジャーな地域。だいたいツーリングに訪れるライダーやチャリダーは苫小牧港や小樽港から北海道入りし、まずは道北の宗谷岬を目指します。なぜなら、旅人は先端に惹かれるからです(なんで?)。宗谷岬の三角形のモニュメントは、北海道ツーリングを象徴するものと言えるでしょう。ひるがえって道東は、最もディープな地域と言えるかも知れません。街の規模も小さいものばかりで不便極まりなく、実は冬が寒いのも道北よりも道東です。険しい日高山脈を超えていなければならず、道東の果てにある網走監獄が畏れられていたのも、その僻地さゆえでしょう。しかし……知床や釧路湿原など、人の手がまったく入っていない自然そのままの広大な地域が広がっていて、道央にいては味わえない雄大な景色を感じられるのも道東です。
霧多布(きりたっぷ)岬は、そんな道東の良さをぎゅっと凝縮したような場所です。今回は車にe-EDIT275を積んでいるので、岬の付け根から美味しいところだけを走ってみました。ルパン三世の作者モンキー・パンチの生まれ故郷と言うことで、ルパン三世の街としてPRしている浜中町を超えて海抜60mほどの緩やかな丘を登っていきます。緩やかとはいっても、自転車で上るのはかなり大変。正直、人力だけでは「さわやか」とは言いがたいシチュエーションですが、e-EDIT275をブーストモード(最大出力)にして上ると、心拍数にほとんど変化がみられないほど楽々上りきれました。
3日に1日ほどしか晴れず、霧ばかりの霧多布岬はこの日僕らを歓迎してくれるかのように晴天。9月の中旬、最高のシチュエーションです。ごちそうさまです!
ただひたすら走るだけで気持ちいい、北太平洋シーサイドライン
霧多布を車で出発して北へ向かう途中に立ち寄ったのは、北太平洋シーサイドライン。浜中町から根室までを結ぶ知る人ぞ知る海沿いの道なのですが、ここも上り下りの多い気持ちのいいルート。思わずe-EDIT275を車からおろして、ポタリングしてみることにしました。
北海道とはいえ道央地域では人の手が入っていない原野はなかなかないのですが、このあたりの地域は牧場でもなんでもない湿地が拡がっていることも多く、オーストラリアのアウトバックのような本物の「オフロード」と呼べる地域。そんな場所を走る度胸はないので、e-EDIT275ではひたすら舗装路を走ることにしました。
実際には十勝から根室まで続く300km越えの道を総称して北太平洋シーサイドラインと言うのですが、編集部が立ち寄ったのはその内わずか10km程度の恵茶人(えさしと)地域。丘を上ると眼前に拡がる大シーサイドパノラマ、というシチュエーションが何度も続きます。
極めてマニアックな砂州、走古丹
次に向かったのは、地図で見ると不思議な地形の砂州になっている走古丹(はしりこたん)。野付半島やサロマ湖も興味深いところですが、さらにマニアックな砂州を目指しました。何かがあるわけではないのがとてもいい。右手には汽水湖の風蓮湖(ふうれんこ)、左手にはオホーツク海、と水面にはさまれながら細い砂州をひたすら走ります。
砂州なので先端付近になると舗装路が終わって砂路面になってしまうのですが、e-EDIT275なら大丈夫(笑)。通常のMTBでは砂の路面は漕ぐ気すら起きないものですが、Eバイクであれば若干難易度高めではあるものの、しっかり路面にトラクションがかかって前へ進んでくれます。そのうち走り方がわかってくると、その浮遊感がおもしろい。ロードバイクはもちろん、グラベルバイクも、MTBも砂の上は大の苦手。もしかすると、Eバイクは自転車の中でも唯一砂を楽しめる存在なのかもしれませんね!
およそ1kmほどの砂路面を走破すると、走古丹の先端へ到着。宗谷岬も三角のモニュメントがあるだけで何かいいことがあるわけではないんですが、ここ走古丹はモニュメントすらない。だけど、その何もないところがいいんだ、と謎の納得をしながらその場をあとにしました。
天に続く道が、とてつもなくヤバイ
道東に入ってから編集部は何度もがっかりさせられました。なにせ人が少ない地域だからか、開いているお店がほとんどなく、毎日裏切られるのです。厚岸(あっけし)では牡蠣を探してもなかなか出会えず、標津(しべつ)では鮭を探しても鮭の心臓しかなく(これはこれで珍しい)、北海しまえびを探すと冷凍物しかない。鮭の筋子をいくらに仕立てる計画があったのに、漁協や市場で買えるところなどなく、結局は中標津の大きなスーパーで買いました。田舎にいけば、地のモノが地元の商店で買えるなんていうのは幻想なんです。キャンプ地は17時には受付終了してしまうし、着いてみたら休業していることもしばしば。いつでもGoogleマップで検索すれば遊べるところへ連れて行ってくれる本州とは違います。
基本的に道東を回るというのは、東京在住の人間からすると不便でストレスも多いのかもしれません。だからこそ、素晴らしい景色と出会えたときの感情の揺さぶられ方は、凄まじいものがあります。斜里を走っていた時も泣けてくるほど素敵な道に出会いました。
知床峠を楽々ヒルクライムツーリングしたあと、斜里を抜けて清里方面へ向かう途中、「天に続く道」の看板が見えました。その先に続いていたのは、北海道によくある直線道路。これが天に続く道か、数キロはありそうだな、と思いつつも写真を押さえるために進んでみるか、と走り出してみると夕日の美しさに感動を覚えました。これは、素晴らしい……これを見るためにここに来たのかもしれない、とつぶやきながら90度右に曲がろうとすると、さらに息を呑む光景が! 天に続く道はこちらだったのです。
カメラを構える人たちに尋ねると、年に数日しかない夕日が天に続く道に落ちる日なのだとか。美味しいものにありつけないことや、いろいろ不便を重ねていることなどすっかり忘れてしまいましたよ。
これまで編集部では、クロモリフレームのMTBを取材のお供に連れて行くこともありました。ところが、意外とMTBというのは体力が必要だし、ちょっと上りになるともう使い物にならないもの。足で歩いた方がましだな、ということもしばしばでした。ところがEバイクなら圧倒的にバイクに近く、さらに気軽。上りでも荒れ地でもぐいぐい進んで行くことができて、MTBとは本質的に違うモノなのだと実感できました。さらには、乗っていることがとても楽しくて気持ちいい。ぜひ、おでかけのお供にe-EDIT275を持って行ってみてください!