ZETAのピボットレバーにTT-R125用が追加ラインナップ。単にマシンに合わせた設計にしただけではありません。開発者がこだわり抜いた新機構をとくとご覧あれ
ZETAピボットレバーで転倒しても破損しらず!
ZETA RACINGには数多くのオフロード・スタンダードと言うべき商品がありますが、中でもピボットレバーはジャンル問わず愛用者がいるほどご高評をいただいている製品です。レバーの付け根にヒンジがつけられていて、転倒時にレバーが逆向きに折りたたまれるおかげで破損の確率をほぼゼロまで下げてくれます。転倒が当たり前の競技であるハードエンデューロライダーにも、免許取り立てで立ちごけが怖い初心者ライダーにもうってつけというわけですね。JNCCやJECなどのオフロードレースに参戦する人のほとんどは、ハンドガードでレバーを守るか、ピボットレバーで破損から逃れるか、どちらかを選択しています。
今回リリースしたのはTT-R125用のピボットレバーです。ファンバイクのTT-R125は転倒してもダメージが少なく、ビギナーからベテランまで思いきったライディングができるため、その分無茶をされがち。だからこそ、ピボットレバーでレバーの破損を防ぎたいところです。このTT-R125用ピボットレバー、単に車輌にあわせて適合させただけではない、特筆すべきポイントがありますので解説していきたいと思います。
ZETA RACING
ピボットレバーセット FP 3フィンガー
TT-R125用(品番D5000)
価格: ¥15,620(税込)
第二のアジャスターに隠された秘密。車体メーカーでは追い込めない機能
他のピボットレバーと違うのは、右側のブレーキレバーです。ご存じのとおり、純正でもクラッチレバーホルダーには遊びを調整するためのアジャスターがついていますね。これまでのピボットレバーの場合、さらにクラッチ・ブレーキ共にレバーの距離を調整できるアジャスター(図2)がついていて、ライダーの手の大きさにあわせたセッティングができると好評でした。他社製品でもここまでは当たり前の機能でしたが、さらにこのTT-R125のレバーは機能を追い込んでブレーキマスターのピストンを押す部分にもアジャスターボルト(図1)をつけることができるようになっています。
リニアなブレーキ操作
純正のレバーにもこのアジャスターボルトは付いていて、純正の場合このアジャスターでピストンを押す距離を調整することができるのですが、ピボットレバーの場合はその構造上違う役目を持っています。ブレーキマスターのピストンはストロークの初期位置に若干の無効部分を持っていて、握りこんでも若干遊びのようなものを感じるようになっています。これは、ブレーキに指をかけた瞬間にブレーキが効き始めると、操作に慣れない初心者にとって危ないことがあるためなのですが、慣れているベテランからすると「素直でリニアなタッチ」からは遠ざかってしまうもの。「このマスター、とてもブレーキタッチがいいね」と呼ばれる高級社外マスターの多くは、この無効ストロークをだいぶ追い込んであって、思い通りに操作ができる設計です。TT-R125のピボットレバーは、ユーザー側がこの無効ストロークを自由に追い込めるようにアジャスターボルトがついているわけです。
この無効ストローク、追い込みすぎてマスターのピストンが常に若干押されるようなセッティングにしてしまうと、ブレーキパッドが常にディスクを押している状態になってしまい、ブレーキシステムが摩擦熱でフェード(ブレーキフルードが沸騰してしまうことで気泡が生じ、スポンジーなタッチになってしまう)を起こす可能性もあります。このセッティングはユーザーの責任に任されていますが、リニアなブレーキ操作がしたいライダーは、ぜひ試してみて欲しいところです!
クラッチレバーにもこだわりが! クラッチレバー側はレーサーであってもレバーの距離の調整用アジャスターが付いていないのですが、ピボットレバーではアジャスターが付いていて手の小さなライダーにも対応。さらにホルダーとレバーの境目は、これまでのレバーはきっちり面をあわせてきていたのですが、このきっちり面が出た部分を境目に折れてしまうこともあったとのことで対応策を講じてあります。レバー側の面取りを施してさらに破損の確率を下げられるように設計してあるのです。
最近のレーサーなどは、このレバーの咥え部分に厚みがあるためそもそも破損しづらいのですが、TT-R125のレバー&ホルダーは設計が古く薄いタイプゆえに施した気遣いです。ここまでやることで、究極に折れないレバーを仕上げました。