全国のオフロードコースを紹介する連載企画の第4弾、今回は群馬県の日野カントリーオフロードランドをご紹介します。ハードエンデューロが体験できるだけでなく、モトクロスやオフロードバイクの基礎練習にも最適なコースなんです!
2014年11月に有料コースとしてオープンした群馬県の日野カントリーオフロードランドは、基礎練習ができるトラックやモトクロスコース、そして広大な山を切り拓いたエンデューロコースを備えています。すぐ近くには関東最長を誇る御荷鉾スーパー林道が通っており、林道ライダーにとっても身近な立地で、トレールからレーサーまで幅広く楽しめる多彩さが魅力。平野部の多い関東地方において、高低差のある本格的なエンデューロコースはとても貴重な存在で、今や関東でハードエンデューロの中心的なコースとなっているだけでなく、全国的にも屈指の山コースとして認知されています。
さらに開拓チーム「グンマーズ」が中心となって主催するハードエンデューロレース「HINO HARD ENDURO」は回を重ねるごとに人気を増し、現在では全日本ハードエンデューロ選手権G-NETでも外すことのできないラウンドとなっています。
日野カントリーオフロードランド
所在地:〒375-0046 群馬県藤岡市下日野 箕輪公会堂 付近
走行料:¥3,500/一般1日、¥2,000/女性1日、他
営業日:土、日
レジェンド「神忠さん」が管理するモトクロスコース
土日でも(ほぼ)独占できる最高な環境
こちらが、コースの入り口すぐ、パドックからもアクセス良好なモトクロスコース。モトクロスと言ってもコース幅は決して広くはなく、大人数での本格的なモトクロスレースの開催はちょっと難しいかもしれません。しかしスピードの乗るホームストレート、テクニカルなコーナー、ジャンプ、登り下りなど多彩なセクションを含んでおり、とても練習になります。
モトクロスコースの内側にはキッズ専用のオーバルコースもできました。
さらに基礎練習に最適な8の字コースも。
冒頭でも説明した通り、日野には関東では珍しい本格的な山コースがありますので、多くのライダーがそれを目的に訪れます。そのため、モトクロスコースや基礎練コースにはほとんどライダーの姿はなく、土日でもほぼ貸切状態で練習できる点も嬉しいポイントなんです。
また、管理人を務めるのは1965年の全日本ロードレース選手権90ccチャンピオンであり、HRCモトクロスチームの初代監督でもある神谷忠さん。オンロードでもオフロードでもレジェンド的存在である神谷さんですが、いつもニコニコ気さくに接してくれますよ。
全日本ハードエンデューロ選手権G-NETでも使われる
屈指の難コースの一部が体験できるエンデューロコース
さて、ここからが日野のメインディッシュ。山コースの一部をお見せしましょう!
パドックから舗装路を進んでいくと、このように立て札で初級コースと中級コースの入り口が案内されています。
初級コースの方へ進んでいくと広場にタイヤと丸太が設置されています。ここはコースから外れたフリーエリアなので自由に練習し放題。特に写真で一番右手前の丸太はかなり太く、しっかりフロントアップしないと超えるのが難しいため、とても良い練習になります。もちろんレースでも使われますよ。
初級コースは初めてのエンデューロに最適。ワダチ、根っこのあるウッズや、適度なヒルクライム、危なくないレベルの下りなどで構成されており、初心者〜初級ライダーにはとても良い練習コースになっています。写真は初級コースにあるヒルクライム「集いの森」。右ライン、中央ライン、左ラインによって難易度が変わり、迂回して先に進むことも可能。本格ヒルクライムの入門編にどうぞ!
ところが中級コースは急に難易度が上がるので注意してください。コースインして程なく現れる「ガレ尾根」と呼ばれるセクションは石と根っこがたくさんの下り。その名の通り尾根なので、場所によっては滑落の危険も……。
「ガレ尾根」を抜けると林道に出るので、それを道沿いに進むと左手に「オールマウンテン」が現れます。こちらはヒルクライムですが、どこかに抜ける道ではなく、登って、下ってを楽しむセクション。ちなみに一番上まで登ると「ガレ尾根」の途中に出るので、もう一度下ってくれば、「オールマウンテン」の入り口に戻ってこられます。
林道をさらに進むと爽やかな「日野スカイライン」に出ます。危険の少ない尾根を軽快に流して走るととても気持ちが良く、個人的に日野で一番好きな場所です。ここでは途中に分岐があり、右に行くと「ヒンヤリキャンバー」。ハードエンデューロレースでも使われる、滑りやすいキャンバーでかなりハードになっています。
分岐を左に行くと「奥の細道」や「ガレ林道」など、かなり難易度の高い設定のセクションに着きます。マシントラブルや怪我、夏場は熱中症のリスクも高いため、絶対に一人では行かないようにしましょう。さらに中級コースの中には他にも「ピラフ返し」や「トンネル沢」、「グンマーズヒル」など、ハードなセクションがたくさんあり、ライダーのレベルによっては一周してパドックに戻ってくるのに半日を費やしてしまうこともあります。コースは騒音の問題で16時エンジン停止厳守ですから、中級コースにチャレンジする時は時間に余裕を持って入るようにしましょう。
これだけ盛りだくさんなセクションを持つ日野の山コースですが、レースの時だけ解放されるセクションがまだまだたくさん隠されています。それらはテープで塞がれていますので、フリー走行時には絶対に入らないようにしてください。モトクロスコースから見える「ヤブサカ」もその一つです。走行禁止の理由はセクションが荒れてしまい、レースで使えなくなるため。エンデューロコースの修復・整備は開拓チーム「グンマーズ」を中心とする有志がボランティアで行ってくれています。ヒルクライムにチャレンジする際は、無茶苦茶にタイヤを空転させて路面を掘らないように注意して楽しみましょう。
ちなみに日野カントリーオフロードランドは群馬県の山奥にあるため、最寄りのコンビニまでは車で30分くらいかかります。自動販売機の設置などもないため、ドリンクや食事は余裕を持って用意しておいてください。また、コースへ接続するための道は細い林道で、一部ガードレールがない区間もあり近隣住民の対向車が来ることもありますので、車の運転には十分に注意してください。車のサイズ的にはコースターまでは通れる、と言われていますが一般的にはハイエースのスーパーロングくらいまでと思った方がいいかも……。それ以上のサイズの車は通れませんので、こちらもご注意ください!
いかがでしたか? モトクロスもエンデューロも練習できる、懐が深すぎる山コース、日野カントリーオフロードランド。ぜひ一度訪れてみてください。