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極上の林道を求めて……CT125 ハンターカブで三宅島に残されたダートを堪能

関東を中心に、バイクで走ることができる林道は減少の一途を辿っています。北海道や四国、九州といった林道天国に行けば、たくさん残されているのでしょうが……。

オフロードバイク歴10年(林道2年+モトクロス3年+エンデューロ5年)のおじさんライダー・伊井覚と、幼少からモトクロスを嗜み、全日本選手権も経験した現役女子大生レディースライダー伊澤侑花が、林道を求めて南の島へ行ってきましたよ!

人生を変えた島、三宅島が
ツーリングMAPをリリース

今回訪れたのは三宅島。東京の南に位置する伊豆諸島の島で、港区の竹芝桟橋からフェリーで7時間ほど。実はこの三宅島、2010年からエンデューロレースで復興をしていて、僕らエンデューロライダーにとってはとても馴染みのある島なんです。

実は僕は普通のツーリングライダーだった時代に、偶然このレースの動画をネットで観たことがきっかけでオフロードバイクを購入し、林道→モトクロス→エンデューロとどんどんオフ沼にハマっていき、果てはオフロードバイクメディアの仕事に就いてしまいました。言うなれば三宅島は僕の「人生を変えた島」なんです。

でもレースで使われる会場は普段はバイクで立ち入ることはできません。さらに島へのバイクの持ち込みも排気量や台数などが制限されているため、なかなか林道ツーリングで訪れる人は多くないと思います。

でも実は去年、こんな「三宅島ツーリングMAP」なるものがリリースされたんですよ。冊子で作られたものは何かのイベントで配布されたらしく、もう島にはほとんど残っていないようなので、WERIDE三宅島の公式ホームページで公開されているPDFを印刷して持って行きました。

これを見ると三宅島の現存する林道がわかりやすくマッピングされています。さらに入口がわかるQRコードまで掲載されているんです。掲載されている写真を見てみると、いわゆる舗装林道も多そうなのですが、果たしてダートはどれだけ楽しめるのでしょうか〜〜⁉︎

カブが"ちょうどいい"島

三宅島に持ち込むことができるバイクは50cc〜250ccまで。となると、林道目的なら普通はセロー250やCRF250Lなど、250ccのオフロードバイクが思い浮かぶと思うのですが、何しろ全周30kmほどの小さな島で、さらに林道もとても狭いため、125ccくらいが適当です。

さらに排気量ごとにフェリーの積載料金が変わってきます。50ccで3500円、125ccで6500円なので、250ccだと10000円(全て片道料金)になっちゃうんです。ちなみに片側3車線どころか2車線の道路もほぼないし、信号は島に3つしか存在しないので、50ccでも二段階右折をする必要はなさそうです。

とまぁそんな事情から選択したのはまずCT125・ハンターカブ。見ての通り、ゴリゴリにカスタムを施しています。カスタムの詳細は後ほどしっかりご紹介するとして、もう一台は……。

CC110クロスカブです! こちらもそこそこカスタムしてますよ〜。

オフロード向けの車両ではなく、スクーターなどを使ってモトクロスコースを走る遊びは日本全国で開催されてきました。さらに言えばずっと昔は道が舗装されてなかったし、ロードレースだって最初は未舗装のコースを使っていたんですから、カブで林道を走ったって何も問題はないわけです!

いよいよ林道に突入!
ダートは北部にアリ

伊澤さんは実はこの日が公道デビュー。島に到着してから少しだけ大きな道を走ってバイクと公道に慣れたら、いざ林道へ。最初はフェリーが着いた錆ヶ浜港のすぐ近くから島の中心へと駆け上がる「南戸林道」です。

三宅島の林道はかなり看板類がしっかり設置されていて、どれも風化されておらず綺麗で読みやすいです。注意事項はこんな感じ。どこも共通しているのは、道幅がかなり狭くて、見通しが悪いんです。さらに舗装されていても枝や落ち葉、石などで荒れていることが多いので、速度にはかなり注意しましょう〜。

「南戸林道」は三宅島の海沿いを一周する三宅一周道路こと都道212号から少し内側に入ったところから、島の中心部に向かってどんどん登って行きます。全面舗装。基本的には道と両脇の草木しか見えないのですが、たまに隙間からチラッと海が見えて感動します。

一部少し斜度がキツくて、停車しちゃうと再発進がちょっと大変なレベルでした。夏季だからでしょうね。草刈りと思われる作業のクルマとすれ違うことが多かったので注意。

三宅島エンデューロレースの会場を経由して、島の中心をぐるりと一周している「雄山環状林道」を南下します。この後ろに見える山が雄山。いわゆる三宅島の火山で、多分山頂まで上がれば火口が見えるはず。立ち入り禁止ですけど。

気持ちの良い「雄山環状林道」を少し走ると、島の南部にある坪田地区へ降りていく「坪田林道」との交差点へ。

ここから先、「雄山環状林道」は通行止めでした。「環状」なので本当はぐるりと雄山の周りを一周できるのでしょうが……三宅島は活火山で、直近では2000年にも噴火しています。たった20年前です。立ち入り禁止区域は道が悪いだけでなく、火山ガスが原因の可能性もありますので、絶対に立ち入らないようにしましょう。

「坪田林道」は少し道幅が広めですが、枯れ枝や木の葉、石などがたくさん落ちていてスピードの出し過ぎに注意が必要でした。特に今回は下りで使用したのでブレーキ操作を誤るとスリップしてしまいます。

伊澤さんはさすがモトクロスライダー。初めてのハンターカブ、初めての公道だというのになんの不安もなく後ろをしっかり付いてきました。

坪田地区から三宅一周道路を使ってぐるっと半周。島の北東部から「火の山峠」と呼ばれる峠へ登っていくと、さっきの「雄山環状林道」通行止めの先に合流できます。

ちょっと土砂崩れとかもありました。そこから北へ向かって降りる「土佐林道」へ行くといよいよ……!

土佐林道、雄山環状林道にダートあり!

ついに求めていたダートが現れました!

写真の通り少し大きめの岩が埋まっていて、段差が大きいところには砂袋のようなものが置かれて段差が軽減されていましたよ。距離はそんなに長くありませんが、断続的に続きました。

それにしてもさすが伊澤さん。カブでも綺麗なスタンディングですね。補足しておきますと、林道の、いわゆる未舗装の道でシートに座ったまま走ると、道の凸凹で身体が跳ねられて疲れてしまいます。また、立って乗ると膝で衝撃を吸収することができるので、サスペンションの動きも小さくて済み、トラクション(タイヤが地面を掻く力)が安定するんです。

「土佐林道」を降りていくと、三宅一周道路に合流する手前で次の林道「三の宮林道」にぶつかります。これに乗るとまた山頂方面へ登って行きます。

「三の宮林道」はものすごく綺麗に整備された舗装林道でした。落ち葉もこんな感じでそこまで多くありません。と、すぐに再び「雄山環状林道」に合流します。

と、思ったら……!

来ましたよ、ダート! 細いながらも真ん中に草が生えていて左右に2車線が作られています。横から草枝がたくさん迫り出しているので、少し難しいですが、基本は左車線キープで走りましょう。

ここの林道でびっくりしたのが、土質がいわゆる「スコリア」で、三宅島エンデューロレースで走れる展望台付近と同じものだったという点です。砂のように柔らかいのですが、砂よりは粒子が大きくて埋まりにくく、石よりも一つ一つが軽いため、上手く走るのには少しコツが要ります。道にはタイヤの跡はなく、関東の林道ではもうまず見られないような極上のトレイルです!

ここは先に走った「土佐林道」よりもダート区間はかなり長く、しばらくこの極上トレイルを堪能しながら南下していきました。そして島の西側へ下っていく「伊ヶ谷林道」に合流する手前で舗装化。

最後の「伊ヶ谷林道」は落ち葉がすごくてこんな感じでした。というわけで三宅島にもしっかりとした未舗装の林道がまだ残されていたんです。嬉しいですね〜。

ダートと言っても、激しい登り下りや、大きな岩など難しいところは本当にありません。なんといってもハンターカブで走れるくらいですから。いや、むしろハンターカブだからこそ、心の底からリラックスしてツーリングを楽しむことができたのかも知れません。250ccのオフロードバイクだと女子は足つきにも不安を感じますし、僕なんかはやっぱりどうしてもついついスピードを出したくなってしまいますから。実際に速度は出さなくても、それを我慢するだけでやっぱり少しストレスを感じてしまうんですね。

景色を見ながらのんびり、エンジンや路面と会話しながら走る。それができるのがCT125ハンターカブ×三宅島のコラボレーションなんです♪

今回CT125ハンターカブに乗って三宅島で公道デビューだけでなく林道デビューまで果たしてしまった伊澤さん、初林道の感想はどうだったのでしょうか?

「三宅島の林道は舗装された道が多くありましたが、場所によっては路面が荒れていたり、がっつりダートで、ちょっとマディな部分もありました。ゆるいアップダウンやカーブが多くあり、特に坂道やカーブからの加速はとても気持ちよかったです。また、道の広さも狭すぎず、走れるラインがいくつかあったので走りやすいと感じました。三宅島にはいくつも林道があって、林道によって道の特徴は異なりますし、入ってから出るまでの距離も長く、走り応えをすごく感じました」

とのこと! モトクロスだけでエンデューロは未経験という彼女。次の三宅島エンデューロには一緒に参戦してみたいものですね〜。

CT125ハンターカブでダートを走るための
カスタムパーツを紹介

ZETA
アドベンチャー ウィンドシールド

¥18,700(税込) / CT125用
スクリーンサイズ:高さ334mm・幅295mm・厚み3mm
材質:アルミ合金製(サンドブラスト処理、ブラックアルマイト仕上げ)

林道ではいろんなものが前から飛んできます。虫や枝、さらには前のバイクの後輪が跳ね飛ばして小石など。ウィンドシールドはその名の通り、風を避けるためのアイテムなので、スピードの出る国道などで本来の力を発揮するのですが、前から飛んできた石などが身体に当たるのも防いでくれる恩恵がありますね。

取り付け方次第でシールドの角度や上下などを変更することができるのも面白いですね。冬はこれで少しは暖かくなるかも?

ZETA
ヘッドライトガード
¥8,580(税込) / CT125用
フレーム部:5000系アルミ合金を採用。厚み3mm。
プロテクター部:耐衝撃性、透明性に優れたポリカーボネートを採用。両面耐候処理済み

前から飛んできた小石などでヘッドライトが割れるのを予防するガードです。黒いフレームの中心には円の形をした透明な板が入っています。透明なのでヘッドライトの明るさにも大きな影響はありません。

ZETA
アドベンチャーアーマーハンドガード CT125専用
¥13,640(税込)
適合:純正ハンドルバー、ZETAスペシャライズドハンドルバー

ZETA
スクードプロテクター
¥4,620(税込)

ハンドルバーとグリップエンドを結ぶガード。CT125ハンターカブ専用のバーエンドが付属しているため、面倒な純正インナーウエイトの脱着作業をせずに装着が可能です。

また、スクードプロテクターなどを装着することで細い林道でも木の枝などを防いでくれます。20kmとかでも、細い枝が小指に当たると、信じられないくらい痛いんですよね……。あれを一度経験してしまうと、必須アイテムと言えますね。ちなみにこのスクードプロテクターは上下反転が可能。下側が長いこの状態がスポーツモード。スタンディングで乗っても手に干渉しにくい形状です。また、ひっくり返して上側を延長させると雨や風をしっかり防いでくれる大型のフードに変身します。

DRC
161オフロードミラー
¥1,760(税込) / 片側

林道は当然一般公道なので、ミラーは必須装備なのですが、スタンディングでバイクに乗っている時に、急な段差とかでフロントに荷重がかかると、このミラーが身体に当たって危ない時があるんです。そういう時にミラーの根元で角度が調整できると、安心なんです。ミラー本体も大型で視認性が高く作られています。

DRC
ワイドフットペグ クロモリ
¥8,690(税込)

ステップの上面がギザギザしているため、ブーツの裏がステップによく食いつきます。また、ステップの幅も50mmと大きいため、体重を乗せやすい形状です。滑りにくいのはもちろん、荷重コントロールがしやすいので、オフロードだけでなくロードでもアリなアイテムです。ちなみにオフロードでどう良いかというと、泥が詰まりにくいところ。上下に貫通して穴が空いていますので、小石や泥がステップに溜まらないんです。これは本当にありがたい!

DELTA
バレル4-S MINIサイレンサー
¥50,600(税込)
音量:近接排気騒音85db / 加速走行騒音79db
重量:3.14kg(付属品を含む)

オフロード走行に適したアップタイプのマフラー。クロスカブは純正マフラーが低いので、かなりメリットがあったのですが、ハンターカブはというと、やはり重さですね。元々かなり重いハンターカブですが、林道を走るために色々とガード類を追加していますので、軽くできるところで軽くしないと!

エンジン特性は中〜高回転域でパワーアップということなのですが、ぶっちゃけ三宅島では体感するところはほとんどないありません。でもけっこう急斜度の登り下りがあるので、軽さと低速域のパワーは大いに助かりました〜。音も小気味良くてテンション上がります。

ZETA
エンジンプロテクション アンダーガード CT125
¥18,150(税込)

アルミ合金製、厚さ3.2mmのエンジンガードです。これはもう、林道走るならマスト。100%必要です。エンジン割ってから泣いても遅いんです。林道には何があるかわかりません。尖った岩があったり、硬い切り株があったり。そんな凶器からエンジンを守ってくれるのが、コレなんです。DELTAのバレル4-S MINIサイレンサーと干渉しないようになっているのも嬉しいですね!

DIRTFREAK
カントリーボックス 汎用 / CT125用
¥14,080(税込)
容量:24L
素材:木製/本体、鉄製/バー
本体重量:2.8kg
最大積載量:3kg

せっかくのハンターカブにホームセンターの箱をつけてる人、結構いますよね……。高いものが良いとは言いませんが、せっかくのハンターカブなんだから、もう少し見た目を気にして欲しいと思ってしまうわけです。こちらは元々あった汎用品に、ハンターカブに簡単に装着できるように取り付け穴を開けてくれたものをわざわざ追加ラインナップ。

ZETA
サイドスタンドエクステンダー
¥4,950(税込)

キャンプ場とか公園とか駐車場とかで、サイドスタンドをかけたらバイクの重さで土に埋まってしまって立ちゴケしそうになったことはありませんか? それを防いでくれるのが、このサイドスタンドエクステンダー。広い面積で土を受け止めることでバイクの重さを分散し、スタンドが沈みにくくなっています。はっきり言ってこれも林道では必須です。特に三宅島のスコリアなんて、一番これが必要なやつですね。

CT125ハンターカブの純正タイヤはもう少しブロックが小さいんですよね。これはダートを走ることを想定し、IRCのGP-21/GP-22というタイヤを装着しています。カブで林道に行くならこのタイヤは本当にオススメですね!

  • この記事を書いた人

アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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