モトクロスを始める際に揃えたいのがモトクロスウエア。一括りにウエアと言っても、エントリーモデルやハイエンドモデルなど複数のモデルがラインナップしており、ブランドやグレードごとにこだわるデザインや機能性も異なります。
「種類が多くてどれがいいのかわからない」「実際何がどう違うの?」そんな疑問を解決すべく、今回はサイズ、ブランド、グレードの3つの観点からウエアを比較。それぞれの違いを加味した上で、自身の好みやこだわりを見つけてみてください。
S、M、L。同じ表記でもブランドによって異なるサイズ感
まず、FOX、FASTHOUSE、SHIFTのハイエンドモデル3サイズを比較。同じウエアでもサイズによって印象が変わったり、ブランドによってサイズ感がかなり違います。
モデルは
身長:168㎝ 体重:60kg
普段のウエアサイズは
ジャージ:Lサイズ(肩幅が大きいためオーバーサイズ)
パンツ:ウエスト 78cm(32インチ相当)
カラー:ブラック
サイズ:S、M、L
カラー:ブラック
サイズ:30、32、34インチ
FOXの中でハイエンドモデルに位置する「FOX 360 マーズ」。ウエスト部に注目すると、Sサイズはジャージがピッタリイン。Lになるとかなりゆとりがあり、肩が落ちているため00’sのような、ストリート感のある着こなしになります。
パンツについて、膝部分を見ると、34は大きいためウエアと膝の位置があっていないことがわかります。また、サイズによってもも部分の太さも異なっており、この違いは実際にニーブレースを付けて通した時の余裕に繋がってきます。着用時に余裕がない方が好きな方は30や32、余裕がある方が好きな方は34が合うでしょう。ただ、ゆとりがありすぎるとフロントにギャザーが生まれてしまいます。ここまでゆとりがあるとライディング時の動きやすさに支障が出てくるため、モトクロスウエアとしては避けたいところです。
ジャージは袖の丈感の違いが一目瞭然。Sだと腕周りが締まり細く見え、Mはジャスト、Lだと袖が余ります。
Lサイズを着ているからLを買うと決めず、実際に試着をしてサイズ感を測ることをおすすめします。FOXの360シリーズはスタンダードなデザインで、ピッタリ着るにも緩めに着るにもハマりが良いです。いつもLサイズを着ている方も、あえてSサイズを選んでピッタリ着こなす、という選択をするのも楽しいですね。
FASTHOUSE
カラー:レッド
サイズ:S、M、L
カラー:レッド
サイズ:30、32、34インチ
ウエスト部に注目すると、Sサイズは腕とウエストの間に隙間がありますが、Lサイズになると袖のだぼつきにより隙間が無くなっています。パンツも同様、Sサイズは隙間無くフィット。最上位モデルのエルロッドは伸縮性が高いので、SサイズはFASTHOUSEのなかでも着やすいです。
袖を見るとSはピッタリ腕にフィットした印象。FOXと比べてみてもFASTHOUSEのSサイズはかなりタイトな仕上がりになっているとわかりますね。
SHIFT
カラー:ホワイト/ブラック
サイズ:M、L、XL
カラー:ホワイト/ブラック
サイズ:30、32、34インチ
SHIFTのブラックレーベル ターガはMサイズからの取り扱いのため、M、L、XLの3サイズを比較。ジャージの袖口やウエスト、パンツの太もも部分やブーツにインしている部分を見るとサイズの大きさの違いがわかります。ジャージにはロゴが大きく描かれている分、サイズが大きくなると、人によってはパンツやブーツにインした時にロゴが隠れてしまうことも。ロゴが見えるかどうかを基準にウエアのサイズ感を測るのも1つの方法になりそうです。
Mだと手首が隠れ、XLは袖の長さと腕周りともにかなり大きめ。3つのブランドを比較すると、サイズがタイトなのがFASTHOUSE。FOXは袖が長くゆとりのあるサイズ感。SHIFTは他の2つの中間くらいの印象です。同じサイズ表記でもブランドによって着た感じがかなり異なるため、ウエアを選ぶ時はブランドごとのサイズ感の違いを考慮して買うことが大切です。
価格を抑えたエントリーモデルだからこそ見える、デザイン性の違い
「エントリーモデル」は値段の安さから手に取りやすいモデル。価格を抑えた中に備わる機能性はそれぞれ異なり、シームレスやリブ入りなど、ウエアによって違いが見られます。
FOX
カラー:ブルー/グレー
サイズ:L
カラー:ブルー/グレー
サイズ:32
首元は丸襟では無く台形のようなかたち。首元のサイドへのフィット感があります。FOXはグレードではなく、デザインによって切り返しが異なるのがすごいところ。
さらに、首元だけでなく袖などの処理がグレードによって異なり、180は縫ってあるタイプですが、360はシームレスでストレス感を減らしたり。アパレルとしてのきめ細やかさが見えてきます。
腰、股下、膝部分に4ウェイストレッチ素材「TruMotion」を使用しているため、伸縮性があり動きやすさも兼ね備えています。スポーツウエアは、その動きに対する伸縮性がとても大事な要素ですが、モトクロスもやはりそれは同じ。膝周りを大きく動かすことはあまりないにしても、シッティングやスタンディングなど、激しい動きを繰り返すモトクロスだからこそ、伸縮性が着心地にもつながります。
カラー:ブラック/パープル
サイズ:L
カラー:カモ
サイズ:32インチ
FASTHOUSE グラインドハウスシリーズは丸襟で首元に沿ってフィット。
サイドにはウエストを調整するベルトも装備。左右でも調節をすることで、自分のウエストにぴったりと合わせることができます。
SHIFT
サイズ:L
サイズ:32インチ
FOXとFASTHOUSE、2つとの違いとしてパンツはファスナーでは無くゴムになっています。SHIFTはファスナーの開け閉めがない分脱ぎ着がラク。ベルトの調整部が固定されているため、着用時は腰の左右でウエストを絞るかたちです。
また、ウエストの内側にシリコンプリントが施されており、ジャージがズレて上がることを防ぎます。基本的にジャージはパンツにインして走りますが、ライディング時の動きでジャージが出てしまうこともあります。ジャージが風ではためくのが気になる方は、ウエスト内部の機能もチェックもしておくと安心です。
首元はシームレスで締め付け感のない着心地。バイクに乗っている中でウエアの着心地はかなり重要。特に首元の締め付けはブランドやグレードによって違ってくるため、自分の好みに合った形を見つけてみてください。
耐久性よりもスポーツ性を重視した、新時代のウエア
FOXのプレミアムグレード「フレックスエアー」シリーズ。ハイエンドモデルの360シリーズよりも圧倒的に軽く、伸縮性も抜群です。同系統はSHIFTのブルーレーベルにあたります。
カラー:ホワイト/ブラック
サイズ;L
カラー:ホワイト/ブラック
サイズ;32インチ
FOXは襟と袖口がシームレスで軽い着心地に。サイドボディにメッシュが配置され、サイドから風を通すことで通気性を実現しています。また、膝周りの伸縮性が良く、運動性を極めています。
夏にピッタリ。「通気性」へのこだわりはメッシュの配置にあった
通気性抜群と謳われているシリーズが「FASTHOUSE エアークールド」。特に、メッシュの配置や軽量化を追求したデザインにこだわりがうかがえます。同じく通気性を重視したシリーズとして、FOXのエアラインがあります。夏に向けてそろそろ発表があるのでそちらも注目です。
FASTHOUSE
カラー:ホワイト
サイズ:L
カラー:ホワイト
サイズ:32インチ
FASTHOUSE エアークールドはサイドに加えてバックも全面メッシュ。写真には肩から下にかけて赤い線が見えると思いますが、これは着用していたインナーの模様。このように透けるほどメッシュの穴も大きく、通気性を追求したデザインです。
こちらもウエストのサイドには調整できるベルトが装備。
あなたも下田丈選手になれる!見た目から気分を上げたい方へ
ウエアについてブランドやグレードについて見てきましたが、憧れの選手が着ているものと同じデザインのウエアを選ぶのも楽しみの1つ。
AMAプロライダーとして活躍をする日本人ライダー下田丈選手はFOXのサポートライダーであり、毎戦違うデザインを着用。そのすべてがスペシャル品ですが、その中で市販されるタイプのひとつがこのセントロです。
ダートフリークでは、下田丈選手がAMAスーパークロス250SXの第4戦アナハイム2で着用した限定デザイン「FOX 180 セントロ」を取り扱っています。さらに、下田丈選手が使用している「BELL MOTO10 スフェリカル」、「SCOTT プロスペクトゴーグル」、「FOX インスティンクト ブーツ2.0」もラインナップし、全て揃えればあなたも下田選手に完全なりきり!
カラー:ブルー/グレー
サイズ:S
FOX 180パンツ セントロ
カラー:ブルー/グレー
サイズ:32インチ
FOX エアライングローブ
サイズ:L
サイズ:L
カラー:ブルー/ブラック/クリアレンズ
カラー:ホワイト/シルバー
サイズ:11
実際に着用してみると気分があがります。ゴーグルとブーツの色は下田選手が着用していた物と同じ色をチョイス。ヘルメットのデカールは再現できませんでしたが、モンスターエナジーやプロサーキットのステッカーを貼ることでさらに下田選手に近づくことができます。
1つ気になるのは下田選手とのサイズ感のちがい。下田丈選手の身長は177cm。身体に隙間無くフィットした着こなしが印象的ですが、市販されている「FOX 180 セントロ」はジャージがSサイズでも写真のようにかなり余裕があり、下田選手の着こなしとは違うと感じる方もいるでしょう。
下田選手はなぜあんなにピッタリ着こなしているのでしょうか?それは、下田選手のウエアは全てオーダーものだからなんです。さらに180シリーズではなくフレックスエアーをベースにしているため、素材も全て異なるもの。下田選手の身体つきに合わせて作られるため、ピッタリなサイズ感なんですね。
サイズ、ブランド、グレード、3つのポイントを踏まえてウエアを見てみるとそれぞれの違いやこだわりが見えてきました。実用的な面ではライディング時の着心地や機能性がありますが、ピッタリした着こなしかゆるめの着こなしか、その見た目の違いも楽しめるのがモトクロスウエア。多くの選択肢の中から自由に選べるからこそ、自分の好みやこだわりを見つけてみてください。