キッズ・ファミリー レース

レースを通して互いに高め合う、44キッズクロス第1戦

アメリカではAMAスーパークロスやアウトドアなど、大きなレースでプロとして走ることを夢に、多くのキッズライダー達がアマチュアレースで経験を積んでいます。とはいえ夢を叶えることができるライダーは一握り。そんな厳しい確率の夢のチケットを日本でも掴めるようにしたい、と立ち上がったのが全日本モトクロスIAライダーであり、株式会社44代表の小島庸平。中部から世界レベルへ羽ばたくモトクロス構想が、今動き始めています。

キッズが成長する機会を作るため、小島庸平がダートフリークと手を組み「44キッズクロス」を始動。そして2022年3月13日(日)、44キッズクロス第1戦が愛知県のスラムパーク瀬戸にて開催されました。参加台数は計63台。初回から多くのキッズライダーが集まり、キッズ達が持つモトクロスへの熱意が感じられました。

開催クラスは、ピットバイク50、ピットバイク110、MOTO-E、ファースト50、ミドル50、スーパー50の6つ。午前と午後の2ヒート制、トーナメント式で行われ、多くのライダー達がレースを通して成長を見せていました。

大人ライダーvsキッズライダー

最初に行われたレースはピットバイククラス。年齢上限がないため、大人ライダーとキッズライダーが混ざってのレースになりました。キッズライダーと大人ライダーが同じバイクで競う機会は多くないため、ライダーも観客も注目のレースに。

コースはタイトなコーナーが多いため、キッズと大人共に各セクションでどれほどスピードを落とさず、スムーズに走れるかが鍵となってきます。大人ライダーはマシンと体の大きさが合わないハンデはあるものの、小さなバイクを見事に操り、スムーズな走りを披露。対してキッズライダーは、大人ライダーがタイトなコースに苦戦している隙をついて順位を上げるなど、抜きつ抜かれつの攻防戦を繰り広げました。応援する親御さんたちは思わずキッズライダーへの歓声に力が入り、会場全体が盛り上がりを見せました。

ピットバイク50ではキッズライダーが1位と3位を獲得。1位の松本剛選手(#55)は全日本選手権や中部大会で優勝の経験もあるトップライダー。ジャンプ、コーナリング、フープス、ストレート、全てのセクションを悠々と乗りこなす姿からは確立されたライディング技術が感じられました。

また、50ccを自由自在に楽しむ大人ライダーの乗りこなしにも高い注目が集まりました。速さだけでなくライディングで魅せるその姿に、見ていたキッズライダー達もトリコに。ライダーのみならず、ミニバイクの可能性をも感じさせてくれる走りは圧巻でした。

ピットバイク110クラスでは、マイカルチャンプ選手が1位を譲らぬ速さとテクニックを見せつけました。観客が集まるコーナーでは手を振るという余裕も見せ、会場は大盛り上がり。キッズライダーにとってもレースの楽しさを学ぶ機会となったでしょう。

同クラスに出場した大久保英飛選手(#8)は中部戦と全日本にも出場するライダー。ピットバイク110クラスには姉のバイクを借りて参戦し、大人ライダーとのバトルの中でモトクロスの楽しさや学びを得ていました。

静か、だからこそ盛り上がる

電動バイクのみで競い合うMOTO-Eクラスでは、電動バイクの特徴である静かなモーター音により、歓声やライダーの声が会場によく響きます。応援の声がライダーに伝わり、ライダーの声も聞こえてくる、双方のリアクションが伝わりやすいレースは会場の一体感が感じられました。

エンジンバイクへのステップアップ用として作られたWOOF。オフロードを始めたばかりというキッズライダーから乗りこなすライダーまで、幅広いライダーが参戦。トーナメントの組み合わせはくじ引きで決まったため、レベル関係なく競える環境の中ライダー達が成長している様子が見えました。

小山田成選手(#76)は周りより年齢も身体の大きさも小さく、ヒート1でバイクをコントロールしきれずコースアウトするシーンも。それでも、ヒート1での転倒から気持ちを立て直し、ヒート2で再び挑戦する姿に周りも胸を打たれました。

丹波群青選手(#66)はWOOFのプロモーションビデオにも出演しているライダー。スピードを落とさずスムーズな走りを見せ、MOTO-Eクラス総合1位を獲得。今後の成長にも期待が高まる注目のライダーです。

速さが光る、50ccクラス

ファースト、ミドル、スーパーの3クラスに分けて開催された50ccクラス。ファーストクラスは今大会最多の15台で行われました。オフロードを始めて間もないライダーが多い中、1レースごとにライバルとバトルや勝ち上がっていく楽しさを感じている様子が印象的でした。

ファースト50クラスには兄弟で参戦している家族も多く、中脇理樹斗選手(#89)と中脇悠樹斗選手(#88)兄弟は予選からアツイバトルを披露。全体の順位より兄弟間で順位を争っているという2人、今大会は理樹斗選手(#89)が優勝果たしましたが、次戦はどちらが勝利を収めるのか注目したいところ。身近に高め合うライバルの存在がいることの大切さも感じられました。

ミドルクラスは参加台数は5台と少なめでしたが、中間のクラスということでライダー同士のレベルの差はほとんどなく、一人一人の走りが光るレースに。優勝した松本剣選手(#83)はヒート1で1位を逃すも、ヒート2で挽回し優勝。スムーズな乗りこなしに、スーパークラスへのステップアップも期待が高まります。

スーパークラスには中部選手権や全日本選手権に出場しているライダーが集まり、レベルの高さを見せつけました。コース幅が狭く、抜かしどころが難しい中、コーナーでスピードを乗せフープスでライバルを抜いたのは水谷倫都選手(#95)。ライン取りやスピードの乗せ方、フープスの扱い方がすでに洗練されていました。

レースの緊張感はある中、終始わきあいあいとした雰囲気に包まれていた今大会。レースを通して高め合い、モトクロスを楽しむキッズ達の成長に今後も注目が集まります。

次戦は4月17日(日)、MXフィールドトヨタで開催予定。65ccや85ccクラスも追加されるため、よりクラッチワークやブレーキングなど技術力が求められるレースが見られるでしょう。ライダー達がどのような走りや成長を見せてくれるか、次戦も楽しみにしていたいです。

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アニマルハウス

世界でも稀な「オフロードバイクで生きていく」会社アニマルハウス。林道ツーリング、モトクロス、エンデューロ、ラリー、みんな大好物です。

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